ニッケイ新聞 2009年3月11日付け
全国工業連盟(CNI)は九日、二〇〇九年度の国内総生産(GDP)成長率を査定したところ、ほぼゼロに近いものになると表明したことを十日付けエスタード紙が報じた。査定はIBGE(ブラジル地理統計院)のデータに基づき、中央銀行が行った金融市場の調査法を導入、詳細を二週間後に公表する。CNIは十二月、〇九年のGDP成長率は最低でも一・八%と見ていたが、国内経済はさらに悪化していることを認めた。国内景気は、ルーラ政権が始まって以来最低の水準にある。
CNIのカステロ・ブランコ会計担当によれば、ブラジル経済の〇九年度国内総生産はゼロ成長またはマイナス成長予想だという。IBGE(ブラジル地理統計院)は先週、一月の工業生産を昨年同月比で一七・二%減と発表した。
CNI自身も、一月の工業製品売上高を昨年同月比一三・四%減、前月比四・三%減と発表し、下降傾向を折込済み。国内総生産後退は、ルーラ政権始まって以来最悪であり、これまでのデータと比べようもない。
一月における工業生産の激減を取り返すため、年末までに少なくても一二%増を挽回する必要がある。さらに憂慮されるのは、設備の稼働率が〇三年一月水準の七八・四%へ落ちていること。
ブラジルの工業界はペンペン草が生えそうな雰囲気だ。設備の稼動時間と生産のリズムは一月、昨年同期比で六・五%落ち込んだ。雇用率も一カ月の間に、前月比〇・一%落ちた。昨年同月比では〇・七%減。
現在のブラジルは、インフレよりも経済成長の方が遥かに深刻な問題となっているとCNIが警告。経済は一度マイナス成長へ転落すると、回復のために計り知れない時間と努力を要するもの。
中央銀行Focus調査は、工業生産は一・二四%増から〇・〇四%減少、GDPは一・五%から一・二%成長、予想インフレも四・六六%から四・五七%へ下方修正。政策金利一二・七五%も、次回は一・二五%への引き下げ予想だ。投資家は、一・五%引き下げで入ると考えている。
建設業界は金融危機に入って六カ月、業者はまだパニックから抜け出せないでいる。建設業者の悩みは二つ、第一が運転資金難で、第二はブラジル経済の回復。二月に行われたサンパウロ州内二百十四社を対象にした調査では、これら二つの問題に対する期待値は、各々、昨年同期比で三〇%と六〇%の落ち込みを見せている。建設は景気の影響を、最も敏感に受ける業界の一つといえそうだ。