ニッケイ新聞 2009年3月11日付け
PSDB(民主社会党)執行部二十七人のうち半分が九日、セーラサンパウロ州知事を二〇一〇年の大統領選の党公認候補として推薦する意向であることが判明と十日付けフォーリャ紙が報じた。
党としては党内分裂を避けたいのが当然で、もう一人の大統領候補ミナス・ジェライス州のネーヴェス知事とセーラ知事が、仲良く手を取り合うことを願っている。
十四人の州代表の間では、十二人がセーラ知事。PSDB党首のゲーラ上議だけがネーヴェス知事を支援し、党大会での決着を要求した。
両候補の間で合意が望めないなら党大会で決着すべきとの考えだが、党内での、候補決定後は与党PT(労働者党)に先手を打たれている大統領選の選挙運動へ乗り込み、早急に失地回復すべきだという意見も強い。
セーラ知事自身は党への打診を時期尚早とし、決着という考えを回避している。カルドーゾ前大統領は、政府与党PTの選挙運動を違反として訴える意向を表明した。同時に、PSDB内でネーヴェス知事が、根回しに全国を奔走していることも牽制した。
「現在は金融危機で経済が混迷しているので、知事は飛び回ってばかりいないで、もっと州政に心血を注ぐべきである」と前大統領は諌めた。ネーヴェス知事はセーラ知事を、全国遊説に招いた。前大統領が「それは考えものだ。両人は州知事であり、忙しい。党大会の地ならしのため、二人が全国を歩くときではない」と注意した。
しかし、賽は投げられた。PSDBミナス支部長のアケル元法相が、誰を公認候補にするかを議論するのは道理にかなったものと声明を発表し、密室政治を牽制した。
サンパウロ州のマデイラ下議は「議論は、PSDBのPMDB(民主運動党)化だ。PSDBはPMDBから独立したが、今は古巣に帰りつつある。PSDBは創立の精神を忘れたのだ」と皮肉った。