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国際麻薬組織の大型摘発=空港職員や警官ら32人逮捕=2年がかりの作戦が効を奏す

ニッケイ新聞 2009年3月12日付け

 サンパウロ州のグアルーリョス国際空港などで十日、連邦警察が国際麻薬組織摘発を行い、空港職員や警官も含む三二人を逮捕と十一日付伯字紙が報じた。
 南アフリカ共和国の要請で連警が〇七年七月に始めたカルガ・ペザーダ作戦の一端で、対象は、同国や英、仏、蘭、葡各国への麻薬密輸関係者。
 サンパウロ市やグアルーリョス市、南マット・グロッソ州のポンタ・ポラン市、カンポ・グランデ市で行われた今回の作戦では、コカインの受け渡しや積み込みに関わった空港職員なども逮捕された。
 密売者から空港職員への受け渡し場所は空港近くの大通りで、乗用車からインフラエロ(空港インフラ業務公社)のコンビ車に移されたコカイン入りのトランクやダンボール箱は、検査も受けずに飛行機への積荷集積所に持ち込まれる。
 ここで、既に検査を終えた客のトランクなどからはがした検査済み証を貼り、飛行機に積み込まれた荷物は、そのまま空輸となる。
 目的地の空港で待つ荷受人には、検査済み証記載の氏名なども連絡されるが、インフラエロ職員以外にも、税関職員や航空会社職員、警備員らが麻薬の搬入や通関作業を容易にしていたという。
 また、運び屋への旅券の受け渡しを頼まれた麻薬取締り担当の市警も逮捕。同市警には、担当部署で押収した麻薬の横流し容疑も持たれている。
 カルガ・ペザーダ作戦では、〇七年七月以降、ボリビアやコロンビアからブラジルを経て密輸されようとしたコカイン五四七キロを押収。先の五カ国や米国の捜査官とも情報交換をしており、これまでに五八人を逮捕した。
 五〇キロのコカイン入りトランク密輸経費は、空港職員買収費や運び屋の報酬など、約九〇〇〇レアル。作戦開始前の〇七年前半に先の五カ国に送られたコカインは一三〇〇キロ、二〇〇万ドル相当と推測されている。
 南マット・グロッソ州では密売者三人が今も逃亡中だが、〇八年にはグアルーリョス空港だけでコカイン一トン、大麻七〇キロ、エクスタシー一三万錠を押収したブラジルでの摘発作戦により、国内外での麻薬蔓延が抑制されることを国際社会も待ち望んでいる。