ニッケイ新聞 2009年3月12日付け
【千葉県発】日本の春に毎年、千葉県の幕張メッセで催される国際食品・飲料展(フーデックス・ジャパン)は三日から六日にかけて、約九万人の入場者があったが、ブラジル輸出・投資振興庁は例年になく力をいれた展示とセールを展開した。
約三十の食品メーカー、輸出会社がOne Country,many flavours(一つの国で多彩な味)という歌い文句で、新興経済国ブラジルの食品を売り込んだ。日系出稼ぎ者が日本に持ち込んだブラジル食品が、日本の消費者にも広がっているのを反映して、日系のセールス担当者が、日本語で対応するところもあった。
フーデックス・ジャパンへの参加国は今年、世界五十九カ国を数えた。輸出国の企業が、日本の輸入業者へ売り込むプロ同士の見本市で、一般の市民は入場できないが、各国政府が、豊かで味にうるさい日本市場にくい込もうと支援する国際商戦の場だ。
ブラジル本国からの出展者はコーヒー、鶏肉、パネトーネ、グアラナ茶、ワイン、プロポリスなど。日本市場に慣れている日系企業は、日本のパン屋や食品店でもみかけるようになったポン・デ・ケイジョやフェジョアーダ、パスタなどを試食させ、人目をひいていた。
たとえば、ラテン食品専門の(株)イマイ(新宿区)は、戦前の移住者が創業。一九九〇年の日系ブラジル人の来日以降、急成長した。フーデックスでも多様な商品を展示。「ブラジルの豆御飯は、どうですか」と試食させる係も日系人で、「日本の人にもブラジル食品になじんでほしい」と熱心だった。
イタリアは例年通り、最大の展示場だったが、国際経済情勢を反映して、アメリカは縮少気味。中国は「中日農産品貿易講演会」を開いて、品質や安全についてアピールしていた。(ジャーナリスト 青木 公)