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中銀通貨委員会=政策金利1.5%下げ11.25%へ=GDP劇的落ち込み受け=危急の対応に批判の合唱=更なる下げに期待集まる

ニッケイ新聞 2009年3月13日付け

 中央銀行の通貨委員会(Copom)は十一日、政策金利(Selic)を一・五%引き下げ、年利一一・二五%とすることを満場一致で決めたと十二日付けエスタード紙が報じた。〇八年第4四半期GDP(国内総生産)の落ち込みが激しく、不況突入が懸念されるので、〇三年以来最大の下げ幅となった。それでも実勢金利は六・五%で、世界最高。市場関係者が中銀は現実が見えていないと厳しいが、今年上半期の政策金利は一桁になると見ている。

 産業界と労組はGDPの劇的落ち込みを前に、より画期的な下げ幅を期待したと不満の意を表した。それでも中銀の下げ幅は、〇三年十一月以来最大のものであった。
 一月のCopomは長時間にわたったが、十一日のそれは短時間に満場一致で決着した。通貨委員会は、これから予想される政治的圧力に配慮し、Copom内の歩調の乱れを避けたようだ。議事録では、経済成長よりもインフレ懸念重視を示唆している。
 Copomの決定は、政府の経済成長優先派の要求には応えられなかった。財務省は二%の引き下げを期待していた。経済スタッフは今年中に政策金利を一〇%以下とすることで、経済政策原案を練っている。
 PT(労働者党)党内では、メルカダンテ上議が中銀を「時代の乗り遅れ」組と烙印を押した。危機はインフレが羽ばたく前に卵を潰し、国内消費を萎縮させたのだ。
 その他アナリストの分析は、次のようだ。経済危機が表面化し、大統領や財務省スタッフによるサンバ気分の予測を一蹴したことで、中銀も目を覚まさないと財務省の命令下に置かれる。
 大切なことは目先のことでなく、長期展望だとアナリストは批判した。中銀は国内産業の動揺が見えない。病人は即効療法を必要としているのに、長期療法を施そうとしている。
 経済評論家のセルソ・ミング氏は「中銀は、ブラジル経済を正しく把握していない。グローバル危機がブラジル経済に及ぼした影響は、中銀が考えるより遥かに大きい。大手企業が国際金融で調達していた融資金はリーマン破綻後、途絶えた。それが中銀の予測を超えて、国内の信用市場をひっ迫させたのが現実」と指摘する。
 さらに「資金枯渇で貧血状態にある金融市場に対する流通量注入と金利政策が、中銀に期待される重要な役割なのに、好況時の通貨政策を維持し、政策金利の自動的引き下げを期待するなといっている」と批判した。