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少年Sの養育権争い続く=ブラジル人母死後は継父が養育=実父の声に米国世論動く

ニッケイ新聞 2009年3月13日付け

 三月一日付エスタード紙以来、伯字紙が連日取り上げ、クリントン米国務長官がアモリン外相に問合わせた問題がある。
 それは、二〇〇〇年に米国で生まれ、〇四年六月以来ブラジルに住む、八歳のS君の養育権問題だ。
 S君の父は米国人のデイヴィッド・ゴールドマン氏、母はブラジル人のブルーナ・ビアンシさん。米国滞在中に国際結婚してS君を生んだブルーナさんは、S君同伴で帰伯後、離婚を申し入れた。
 ブルーナさんへの養育権は〇四年七月にブラジルで認められた一方、ゴールドマン氏は同年九月にブルーナさんと彼女の両親を誘拐罪で起訴。
 この時は一五万ドルと交換に起訴を取り下げたが、同年十一月にも「子供の奪取に関するハーグ条約」を盾に子供の返還を要求。S君はブラジルに順応し幸福に暮らしているとして却下された。
 ブルーナさんへの養育権とS君のブラジル滞在はその後も認められてきたが、ジョアン・パウロ氏と再婚していたブルーナさんは〇八年八月に出産がもとで死亡。その後、継父のパウロ氏に養育権が認められ、告訴のゴールドマン氏は再び敗訴した。
 〇八年十月には、S君との面会権がやっと認められたゴールドマン氏が来伯したが、息子との対面は実現せず。
 これらの経緯に不満なゴールドマン氏は、知人の協力も得てキャンペーンや、サイトやテレビでの呼びかけも実施した。
 これがクリントン長官のアモリン外相への問合せに結実した訳だが、米国の「S君を米国に取り戻そう」との動きは、十四日のルーラ大統領とオバマ大統領との会談中、ホワイト・ハウス前で抗議行動計画など、次第に圧力を強めつつある。
 国際条約や対米関係も絡んだS君問題で国内でも実父に返せとの声が出始めている十一日、ゴールドマン氏が再来伯した。だが、パウロ氏らは、彼の養育権請求は金が目的としており、S君との面会拒否の可能性も高い。
 オバマ大統領が問題に触れたら、これは司法問題で政治問題ではないと答える所存のルーラ大統領。米国に脱出後、キューバの父親に引き渡された子供の前例もあり、母を亡くした悲しみが癒えたか癒えないかのS君の今後は、まだまだ波乱を呼びそうだ。

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