ニッケイ新聞 2009年3月17日付け
ルーラ大統領は十四日、ホワイト・ハウスでオバマ米大統領との伯米首脳会談に臨み、金融危機がもたらした経済混乱を鎮静化するため国際金融の正常化とG20への共同提案について話合ったと十五日付けフォーリャ紙が報じた。米大統領はブラジルのバイオ燃料政策を賞賛したが、技術協力や情報交換については言及を避けた。ブラジル産エタノールの関税障壁は見直すとのみ答え、「改革は一朝一夕に行かない」として言質を与えなかった。
伯米大統領の初顔合わせは、和やかな雰囲気で行われた。ルーラ大統領が「家には沢山ペピーノ(胡瓜=「問題」の比喩)があるので、長居はできない」といい、オバマ大統領は「うちの女房と話したみたいなことをいう」と軽口で応えた。
会談は米大統領が、ロンドンで四月開催のG20に、ブラジルと共同歩調を取りたいとを切り出した。グローバル不況対策についての原案は、ローレンス・サマーズ財務担当補佐官が説明した。先進国と新興国代表との連携プレーで実施というものだが、実質的な伯米パートナー・シップだ。
G20に先立ち、近日、閣僚級会議を行う。先ずアモリン外相とクリントン米国務長官他、高官多数の立会いで金融と財政計画の骨格を作る。
両国の間には保護制度や関税障壁など一触即発ともなりかねない問題があるが、時間をかけ、アイデアを発展させながら自然に解決しようとオバマ大統領が持ちかけた。
マルコ・A・ガルシア伯大統領顧問は一行訪米の二日目、G20準備の伯米委員会は一グループに留まらないと声明。ブラジルと関係が深い国々を含めたグループもつくり、慎重に討議という。
G20の建前は各国の内情と国際関係の協議だが、本音はルーラ大統領がいうように、米国が育てた胡瓜(問題)の始末にあると同顧問は述べた。伯米間に立ち上げるグループは、ブラジルの友好国とオバマ大統領とを橋渡しをするためのものと説明した。
ブラジルが関心を抱いているのは、ラテン・アメリカ代表としての二国間交渉。伯米首脳会談では、金融危機で認識が一致しただけで何ら合意はなかった。エタノールの関税障壁は、二次的問題と同顧問は見ている。
ただし、同紙のクローヴィス・ロッシ記者は「今回の会談は古い映画の第二部をみているようだ」とし、六年前のルーラ・ブッシュ会談で四つの作業部会を設置したが、その後まったく進展がなかったことを検証し、「二の舞になる可能性がある」と批判した。