ニッケイ新聞 2009年3月17日付け
ベネズエラのチャベス大統領は十五日、中央集権化を強めて野党勢力下にある地方自治体を封じ込めるため、軍隊が港湾と空港を占拠し管理を行うよう命令と十六日付けエスタード紙が報じた。
同大統領は今週、海軍の船団を野党の地方自治体州内にあるマラカイボ港とカベーロ港へ派遣した。
チャベス大統領は、政府任命の港湾責任者を追放した者を逮捕すると、テレビとラジオで通告した。大統領によれば、同国の港湾は土地のマフィアや麻薬組織によって管理されているという。組織の手から港湾や空港を取り戻すのは、国家安全保障のためと述べた。
チャベス派の議員は先週、中央集権化法の改定案を承認し、地方自治体の支配圏にある空港や港湾、国道からの責任者追放や税金の徴収を禁じた。野党側は「地方自治体の収入源封鎖は、反対派勢力を抹殺する作戦だ」と非難した。
それに対し、政府は「港湾や空港は国の戦略拠点であり、野党はチャベス大統領の孤立化を図り、社会福祉計画を混乱させようとしている」と異議を唱えた。
十一月の地方選以来、野党は主要五州で勝利を収めたため、チャベス大統領は中央集権化を急いでいた。主要五州で敗北を期したチャベス大統領は矢継ぎ早に、病院やスタジアム、野党州警察署のコントロールを保健省やスポーツ省、内務省などの国家管理下に変換する法令を制定した。
また戦略的に重要とされる食糧部門の企業を国営化するキャンペーンも行い、カーギルの精米所へ武力介入をした。
同大統領は二月、大統領選へ無制限に立候補できる国民投票を行い辛勝した。野党は、チャベス大統領の〃強者の倫理〃による強引な政治手法を非難した。