ニッケイ新聞 2009年3月17日付け
週末のルーラ大統領の訪米は用件が二件のみ。米大統領との会談に実があろうがなかろうが、世界最強の権力者と軽口を叩いて親密度をアピールしたことで、十分に話題を振りまいた。ところが、本当に会っておくべき人とは会っておらず、政治的人気取りの演出劇中心で、実質的な経費無駄遣いとの厳しい声もあるようだ。
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景気後退で税収が減り、国や州、市単位の予算も見直しが迫られている。政府では、「投資は削らない」との大統領発言に反し、〇九年最初の二カ月間の投資額が減っていると十五日付エスタード紙。サンパウロ市でも、交通関係予算の二六%を一時凍結すると十六日付エスタード紙。失業保険の出費は過去最高の伸び率とは十五日付フォーリャ紙。入ってくるものと出て行くものとのバランスが崩れれば行詰るのはどこも同じだが…。
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サンパウロ市南部のトランスアメリカで十三~十五日、伯独商工会議所が「エコジェルマ2009:第一回持続可能な製品と技術展」を開催。人気を呼んだのは、時速一〇〇キロで走る電気自動車や廃品利用の服。環境に優しく、再生利用が可能な製品なら、今後の需要や関心は益々増えるはず。
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サンパウロ州モジ市に、他の病院で回復の兆しが見えなかった患者を預かり、退院出来るまで回復させている病院がある。テレビやラジオ、映画もあり、車椅子での日光浴や無制限での訪問承認、遠くに住む家族の宿泊施設もあるなど、集中治療室というイメージからは程遠い州立アウナルド・ペッズティ病院がそれ。ここでは、最新技術や設備投資額より、医師と患者、患者家族の触れ合い、普段の生活環境がずっと大切だと考えられている。