サンパウロ市=トラック盗み追突事故=信号待ちの11台が被害=運転も知らないと男性供述
ニッケイ新聞 2009年3月18日付け
サンパウロ市南部、インテルラゴスのF1サーキットに近いジャンガデイロ大通りで十六日午後、ビール搬送用のトラックが盗まれ、一一台の車を巻き込む事故を起こしたと十六日付G1サイトや十七日付伯字紙が報じた。
事故の発生は十四時半ごろ(消防への通報が十四時三十六分とエスタード紙)。インテルラゴス大通りのレストラン前でトラックを盗んだ男性は、大急ぎでジャンガデイロ大通りに入った後、コントロールを失い、信号待ちの乗用車一一台にブレーキもかけずに突っ込んでいったという。
被害にあった車の中には、電信柱に巻きつくように二つ折れになったものや跳ね飛ばされて建物に突っ込んだものまであり、事故の凄まじさを物語るが、人的被害は軽傷者三~四人の模様。
被害者の一人で、姑も怪我をしたという婦人は「トラックの接近には気付かなかったが、大音響と共に、タクシーが自分達の上にかぶさるように迫ってきた」という。
この被害者の車は、前方の車を押し出した上、旋回しながら進み、横断歩道上で止まったが、横断中の歩行者はおらず、大事には至らなかった。
一方、トラックを運転していた容疑者は逃亡を図ったが、被害車運転手の一人に追いかけられ、インテルラゴス大通りの交番手前で捕まり、警察に引き渡された。
盗難車による事故だとは想像だにせず、ビール運送会社の運転手そのものだと思って追いかけたというお手柄の男性は、容疑者は麻薬を使っていたようだったと報告。
容疑者が警官の尋問に答えようとしなかったため身元はまだ判明していないが、少なくとも、赤信号には気付いたことと、無免許で、運転を習ったこともないと供述しているという。
この事故で現場は通行止めとなり、事後処理には一五台のレッカー車が投入されたが、それでも開通は夜になったという。十六日付G1サイトは、保険のないまま被害にあった車の持ち主達が今後の補償を懸念とも報じた。