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ブラジルに教育面での支援要請=首都で領事当局間協議=深田局長が日本の取組み説明=「両国の関係強化の契機に」

ニッケイ新聞 2009年3月20日付け

 ブラジリアで十七日に開催された『第三回日本ブラジル領事当局間協議』に関し、外務省の深田博史領事局長が十八日午後、在聖総領事館で記者会見を行った。同会議には日本側から、深田領事局長、外務省領事局外国人課の小野一彦課長補佐、内閣府定住外国人施策推進室の岩崎克則参事官補佐、ブラジル側はオットー・アグリピーノ・マイア在外ブラジル人コミュニティー担当副次官ほか外務省、関係部局の関係者が出席した。

 深田領事局長は、現在の日本国内の厳しい経済状況について述べ、深刻となっているブラジル人の雇用問題を受け、今年一月に内閣府が取りまとめた「定住外国人に関する当面の対策」を具体的に説明した。
 同対策は、教育・雇用・住宅対策、帰国支援、国内外における情報提供などを中心に行われるもので、短期間だがJICAによる日本語指導などの支援が日本各地ですでに始まっている。
 これに対し、ブラジル側からは「謝辞とともにブラジル人に対し、施策を講じた唯一の国との高い評価があった」(深田領事局長)。
 帰国支援に関しては、「出て行けという訳ではない」と日本の立場を強調しつつも、ブラジル政府、航空会社への要請を通し、帰国が円滑になるよう環境整備も行う考えを示した。
 続いて、ブラジル側からは実施している支援策の説明があり、日本側からは、ブラジル人学校への支援、教育の質の向上、未就学対策の検討を要請した。
 深田領事局長は、「教育の問題については日伯間の関係強化が大事となるとともに、(国外就労する)ブラジル人に改めて問われる問題では」と指摘。
 「計画を立てて就労している人とそうでない人の差が出てきている。教育面では、親の意識も大きいのでは」と個人的な感想を述べつつも、在外公館などでの情報提供の重要さを改めて強調した。
 以上の点を踏まえ、「様々な問題があるが、両国双方にとって関係を強化するいい契機なのでは」とまとめた。
 領事問題に関しては、在伯邦人からの要望として、就労ビザの発行の迅速化を申し入れた。ブラジル側からはブラジル人の在留管理などの要請があった。
 司法・社会保障の協力では、すでに設置されている作業部会で議論を進めていくことを確認、社会保障分野に関しては、今年六月に東京で両国当局間協議が開かれる。
 在日ブラジル人の犯罪現状と対策を説明し、「不処罰は許さない」との観点から、引き続き代理処罰などの協力を要請した。
 次回領事当局間協議は年内を目処に東京で開催される予定となっている。なお、記者会見同日午前には、文協、援協、県連の代表者らと懇談も行った。