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バチスチ亡命容認=「伊国への身柄引渡しはない」=大統領判断を明言=執行権限は誰にあるのか=判例変更を巡り不協和音

ニッケイ新聞 2009年3月21日付け

 ルーラ大統領は十九日、イタリア当局から終身刑を宣告された元政治犯ケーザル・バチスチ容疑者の件で大統領府に最終決断を迫られるなら、同容疑者のイタリア政府への身柄引渡しはないとする意向を最高裁へ表明と二十日付けエスタード紙が報じた。最高裁は現在、同容疑者の判決を審理中であるが、ジェンロ法相の亡命容認判断に反し、身柄引渡しの方向にある。大統領は法相判断を反古にする意向もないし、最高裁に抵抗もしないと、泰然としている。

 大統領は報道官を通じて、最高裁とことを構える意志がないとするサインを送った。もしも最高裁が司法判例をくつがえし、同容疑者の身柄引渡しを強制執行するなら、大統領は最高裁判決に従わざるを得ないであろうと明言した。
 しかし、最高裁がどう裁こうと、大統領のこだわりは、狩人の手中に飛び込んできた一羽の小鳥の運命にあると報道官が洩らした。軍政と戦って落命した同志と、大統領の采配に注目する国民のためにも責任重大だ。
 たかが一政治犯としてイタリア政府へ引き渡し、法相の面子をつぶすか。法相とともに判例を盾に、最高裁に抵抗するか。ルーラ大統領は、身柄引渡しの主役は最高裁であると宣言した。
 メンデス長官はルーラ大統領の理解者であるが、判例の変更推進者でもある。バチスチ事件が起きる前から身柄引渡しは、最高裁が判断をしても執行権限はないという立場を取り、執行を大統領権限とした。
 ジェンロ法相は、現在の最高裁をイタリア政府のお先棒担ぎと批判。最高裁は最近、判例の変更と独自執行へと傾いていることで、今後へ物議をかもしそうだと法務省高官は懸念している。
 政府が身柄引渡しを拒否するなら、イタリア政府はバチスチ容疑者の刑事判決と最高裁判決の未執行で、ブラジル政府をハーグ国際裁判所へ訴える。
 ただし同国際裁判所としては、今件について引渡しの如何に関わらず、ブラジル政府を事情説明のために召喚する、との報道もある。
 まだ問題はある。同容疑者は、亡命審議会(Conare)へ再度亡命容認申請を行う権利がある。他に金融詐欺を犯し、イタリアへ逃亡したカキオラ容疑者の身柄引渡し拒否も未解決だ。

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