ニッケイ新聞 2009年3月21日付け
サンタクルース病院を運営するサンタクルース日伯慈善協会は十七日、サンパウロ市の同病院講堂で記者会見を開き、前日十六日の定期総会で行われた役員改選で、新理事長に菜切(なきり)健児氏が就任したことを発表した。現在までに通算九年間、同病院の理事長を務めてきた横田パウロ氏は勇退。今後、名誉理事長として同病院を支えることになる。
菜切新理事長(68、二世)はサンパウロ州バストス出身。心臓外科医としてポルトゲーザ病院、インスティトゥート・デ・コラソンなどの病院で長年経験を積み、十五年ほど前から同病院や、サンパウロ市のアルボラーダ病院でチームで活躍している。
理事長就任にあたり、「横田氏の『病院を大きくしていこう』という意向を受け継いでいきたい」と述べ、有名ブラジル人サッカー選手が膝の治療をするために同病院に集まっていることなどを例に挙げ、「最先端の医療機器があっても、信頼できて有能な医師がいなければ人は集まらない。大事なのは人。中身をしっかりして、今以上に人を呼ぶ病院を目指したい」と抱負を話した。
横田氏は理事長退任について、「以前から七十歳になったら辞めようと思っていた。いつまでも同じ人間がやっていたら癖がついてしまう。若い世代にチャンスを与えて、育てないといけない」と説明。
その上で、「菜切さんはボランティア精神にも溢れていて有能な人材。日系社会だけでなくブラジル社会をリードしてくれるだろう」と期待を込めた。
菜切新理事長から、「名誉理事長に」と勧められた横田氏。「これからもできるかぎりのことをしていく」と話していた。
十六日の総会で決定した新役員は以下の通り。
【副理事長】第一=中村勉、第二=中矢レナット健二、第三=伝田英二。【会計専任理事】第一=松本ミゲール、第二=マルクス・ネルソン・カルドーゾ・サメシマ。【総務担当理事】第一=鈴木一郎、第二=パウロ・マルセーロ・レ。