最高裁=小額軽犯罪の初犯は釈放=社会秩序に支障なければ
ニッケイ新聞 2009年3月24日付け
最高裁は二十日、二〇〇八年に審理した十四件の少額軽犯罪、楽器や工具、酒瓶、砂糖、煙草などの窃盗罪に対し、初犯の場合は「無意味」として棄却、服役者を釈放したことを二十一日付けフォーリャ紙が報じた。
抗弁は地裁から高裁を経て、最高裁へ至ったもの。この程度の犯罪行為は社会秩序を乱すには至らないし、上訴も刑法の適用も不要であると最高裁で考慮された。最高裁へ持ち込むのは、その範囲に留まらない件のみということになった。
また最高裁は、経済的に余裕のある者のみが高額で弁護士を雇い、最高裁へ上訴し、有利な判決を得ることができるという慣例の排除に努める。
最高裁のメンデス長官は二〇〇八年、銀行家のダニエル・ダンタス容疑者を二回にわたって、人身保護令を適用したことで批判された。
少額軽犯罪とは犯人が貧しくて欲しいものが購入できずに犯すもので、初犯である場合は刑罰の適用に慎重を期すとブリット判事が求めた。
刑罰適用の原則は情状酌量の余地がなく、社会的に危険視され、共同生活への適合性がなく、他人に危害を加える可能性が認められる場合に限るとセルソ・メーロ判事が説明した。
最高裁は犯罪発生の状況次第で、被害者に支障を来たさない軽犯罪は違法行為として見ないとした。例えば、所有者に断って道具を借用したが所有者に聞こえなかった場合、所有者が窃盗罪で訴えても犯罪と見なさないという。
全国ではこの種の犯罪で拘束され、法的には刑期を終了してもなお服役中の者が九千人いる。法務審議会(CNJ)の調査でも、裁判手続きが複雑なため、六〇%の審理が来年へ先延べで放置されているようだ。
無意味な軽犯罪は、軍隊にも適用されるらしい。軍事法廷で麻薬所持の有罪判決を受けた南リオ・グランデ州の兵士が、最高裁で無罪放免された例がある。ただし、公務執行中の麻薬常用には、最高裁の中でも意見が分かれている。