ニッケイ新聞 2009年3月24日付け
バチスチ容疑者の亡命容認を巡って最高裁のメンデス長官は二十日、ルーラ大統領が身柄引渡しの意向がないと明言したことで、判例変更の審理を二十六日までに決着することを表明と二十一日付けエスタード紙が報じた。最高裁審理の焦点は、最高裁判決を拒否する権限についてだ。
この審理は、バチスチ容疑者の運命を決める準備となる。最高裁のカルメン・ルッシア判事は二〇〇八年、チリ人セバスチオン・ギチャルジ容疑者の身柄引渡し判決で、最高裁判決に関わらず大統領は、身柄引渡し拒否の権限があると言明。
同判事は、バチスチ容疑者の審理でも最高裁は身柄引渡し要請の合憲性を分析するだけと発言。最高裁が引渡し拒否を決定したら、審理は終了となる。引渡しと決定したら、身柄を引き渡すか否かの最終判断は、大統領の権限というのが最高裁全員の共通意見だ。
但し、最高裁判決を拒否した場合の国際的反響を満身に受ける覚悟が必要だという。法曹界の見方では、ブラジルは法治国家として世界から格下げされるというのだ。