ニッケイ新聞 2009年3月24日付け
リベルダーデの日本食スーパーに並ぶあんぱん。他のパンに埋もれて目立たぬ存在なので、気づかずにいたのだが、見つけた時にはただならぬ懐かしさを感じた。
数えてみると、およそ八社も販売している。香り高いあんぱんは、ブラジルでもファンが多いらしい。
初めて持ち上げた時はずしりと重く、「これがパンか」と驚いた。どれも直径八センチほどで、日本のものに比べると小ぶりだ。白あんもあり、意外と本格的である。
あんぱんは明治維新により失業した武士、木村屋安兵衛が考案し、天皇陛下に献上したのをきっかけに大ヒット。パンという舶来物にあんを入れ、「和魂洋才」として庶民に受けられていった。ちなみに四月四日はあんぱんの日だそうだ。
それが、遠くブラジルの地でも愛されていることに、郷愁を超えた興味深さを感じた。 (綾)