サンパウロ市=高齢者も楽しめる公園=特別な遊具で気軽に運動=会話も弾む戸外の一時
ニッケイ新聞 2009年3月25日付け
子供中心になりやすい公園が、高齢者にももっと楽しめる場所になったらとか、高齢者が無理なく運動出来る場所が身近にあったらと考えたことはないだろうか。
こんな思いに応えてくれるサンパウロ市の公園を二十四日テレビが紹介。十八日エスタード紙なども報じた高齢者向けの運動遊具のある公園は、〇八年後半から設置され始めた。
その一つ、アグア・ブランカ公園には、大きめの洗濯板を壁に取り付けた様な指の運動と肩の可動域拡大用の遊具や、手首の運動用の取っ手型遊具、手すりのついた緩やかなカーブの段付きの橋に自転車漕ぎなど、木製を中心とした運動遊具が並び、高齢者達の運動や交流の場となっている。
ジウダ・ナテウ公園に週三日通うエルシオ・マルティンスさんなど、緑に囲まれた戸外で日光を浴びながら運動し、人との出会いや交流を楽しむという生活を満喫し始めた人々は徐々に増加。高齢化社会にありながら、子供の遊び場になりがちな公園のイメージも大きく変化している。
もちろん、運動回数などは自分で判断して決められる。専門の指導者や使用法説明が不十分ではあるが、各公園、遊具は概ね好評なようだ。
遊具の中には、船漕ぎや乗馬、サーフィンなどの動きを取り入れた物もあり、子供や青年も楽しんでいるともいう。
運動機能低下や外出の機会減少で、人との交流も疎遠になり易い高齢者には、日光を浴び戸外の空気を吸って運動すると共に、人との交流も生まれる場の誕生は喜ばしいことで、市では各区役所管轄内に一カ所ずつの公園設置を希望している。
遊具メーカーが二社のみで、三社以上でと義務付けられた入札が行えないため、急速な普及は無理だが、運動の機会増加で、六五~七四歳の人の三分の一は転倒などを経験という状況の改善も期待されている。
現時点で高齢者向け運動遊具のあるのは、ペルジーゼスのジウダ・ナテウ公園、イタイン・ビビのポヴォ公園、ピニェイロスのヴィートル・シヴィッタ広場、イジエノポリスのエステル・メスキッタ広場、バーラ・フンダのアグア・ブランカ公園の五カ所だ。