ニッケイ新聞 2009年3月26日付け
サンパウロ市南部のクルシーノで一八歳のアナ・クラウジア・メーロ・ダ・シウヴァさんが殺され、息子で一歳八カ月のガブリエル君が連れ去られるという事件が起き、元夫のジャンケン・フェラース・エヴァンジェリスタ容疑者(29)が指名手配されたと二十四、二十五日付伯字紙が報じた。
夫と別れた後はおじや兄弟の住むアパートに同居していたアナさんは二十二日夜、おじ達の不在時に、容疑者も共にサッカーを観戦後、親子三人で帰宅した。
防犯カメラの記録によれば、三人のアパート到着は一九時五〇分。ところが、二〇時三七分の映像は、シャツを着替え、ガブリエル君を抱いた同容疑者のみを記録。
同居するおじは、隣人から、同容疑者が子供を連れて外出したとの電話連絡を受けて、大急ぎで帰宅し、アナさんの刺殺体を発見したという。
アナさんとエヴァンジェリスタ容疑者は、ペルナンブコ州とバイア州の出身で、アナさんが一四歳の時にサンパウロ市で知り合い結婚したが、同容疑者は当初、弟になり代わり年齢も名前も偽っていた。
このことが発覚したのは、ガブリエル君の出生届を出そうとした時で、バイア州での殺人罪で服役中の弟の名前では問題が起きると判断し、真実を明かしたようだ。
夫婦は〇八年五月にバイア州に移ったが、繰り返すいさかいと夫の暴行に耐えかね、アナさんと息子は十一月に帰聖。おじ達と同居し始めた。
十二月にアナさん達の所在を確認した同容疑者は、アナさんのアパートでという条件でガブリエル君との面会許可を得ており、面会日でもあった事件当日は、親子三人でのサッカー観戦後、夕食を共にするつもりで戻ったアパートで、悲劇が起きたようだ。
二十四日には現場に近いスーパー駐車場で、容疑者がアパート到着時に着ていたと見られる血染めのシャツも発見など、同容疑者とガブリエル君についてはサンパウロ州とバイア州で捜査されていた。
なお、逮捕の詳細な経緯発表はまだだが、二十五日付G1サイトが、バイア州警察が容疑者を逮捕し、ガブリエル君も保護と報道。遺族の顔にも安堵の色が漂った。