ニッケイ新聞 2009年3月27日付け
サンパウロ総合大学への入学率が向上したと先日報道されたばかりのサンパウロ州公立高校だが、そのレベルはまだまだ低いことが、州立校生対象の基礎教育開発指数(Ideb)の〇八年の結果から判明した。
ポルトガル語と数学の点数に出席率などを加味したIdebは〇~一〇で表され、〇七年に一・四一だったIdebは、〇八年も一・九五と依然低いのに、州教育局は三八%も向上したと評した事は十九日付伯字紙が報じた。しかし、二十六日付エスタード紙によれば、Idebの高い地域でさえ、公立高校の教育レベルはまだまだ低い事がわかるという。
Idebには学校毎に目標値があり、地域毎の達成率評価もされるが、地域内の学校目標値達成率では八四地区中四三位のサンパウロ市中西部(ヴィラ・マリアナ、モルンビー、ラッパなど)の高校のIdebは、大サンパウロ市圏一の二・二九を達成した。
ところが、州一~三位のルイ・ブロエン、プロフェッソール・ジョゼ・モンテイロ・バアノヴァ、アウベウト・トーレスなど三八の高校があり、大サンパウロ市圏一を誇る同地区でさえ、生徒の学習達成度は低いとしたのが二十六日付エスタード紙の記事。
同紙では、各校生徒をA~Dの四段階に分けた比率により、Aレベル比率に従って上位五校のリストを教科毎に提示。
数学のBは二次関数が解け、Cは少数の割り算が出来るとあるが、一位のアウベルト・トーレスでは上から一一、〇、六七、二二%など、上位五校ですらA、Bレベルの生徒総数は六~一八%のみ。全体にC、Dが多く、Dが五五%の学校もある。
ポ語では、ルイ・ブロエンのように、A、Bで五〇%を超える学校も二校あるが、高校生の基礎学力不足は否めない。
小中レベルでの理解不足が根本的な問題だが、全州トップの生徒が秘訣は週末の予復習と語り、二十二日付アゴーラ紙で報じられた事は、学習習慣が出来ておらず、学習方法も知らない生徒が多いことも反映している。
補習や施設整備の他、学習習慣の指導も出来る教師が必要である事を物語る報告だが、中長期の取組みにより、三〇年の高校のIdeb目標五の少しでも早い実現をと現場も生徒も待っている。