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住宅分譲計画案=画期的政策だが懸念も=成功すれば格差是正に効果

ニッケイ新聞 2009年3月27日付け

 完成期日が明記されていない空手形に等しい簡易住宅分譲計画案が発表されたことで、未開発分野の見直しが関心を呼んでいる。FNA(全国建築設計士協会)が二十五日、計画案の分析を始めたと二十六日付けフォーリャ紙が報じた。
 見直しの重要ポイントは三点。一、広大な法的未整備の土地(フンジアーリア)が、整備される可能性があること。二、三最賃以下向け住宅が、二〇%から四〇%へ増えること。三、三最賃以上のクラスへは、補助金が減額されること。
 計画案は細部の説明がない荒削り状態で発表されたので現在、消化できる状態にかみ砕いているところだ。同案が活かされるためには、特性や方向性から決める必要がある。所得格差の是正には、良い案として関係者から評価された。
 懸念されるのは、治安関係のインフラがない僻地の都市化だ。建坪三十二平方米の住宅建設が業者の委託建築で行われるが、物件保全のため住民組合を結成する必要がある。地方自治体は、低所得層の住宅問題と公共投資の管理を行う。
 ここで問題となるのは、簡易住宅の入居抽選で有力政治家の紹介や地方有力者の縁故関係、選挙運動が介在することだと都市計画の専門家カズオ・ナカノ氏が警告する。ここで民主制が無視されると、住宅計画は遺恨を残す。
 同計画案がブラジルでは画期的な政策であるため、フンジアーリアの法整備や不動産登記所の記載法、環境庁の手続き、市の建築許可など戸惑う点が多いと、FNAは心配する。政府は手続きの簡易化と敏速性を公約した。
 ルーラ大統領がいうように「約束期日のない公約であり、誰も責任追及をする者もいない。できるとき、すればよい」というように、期日の入っていない契約書は法的に無効という見方もある。