ニッケイ新聞 2009年3月31日付け
七年前、宮崎のとある田舎町に、子どもを抱え、女手一つで切り盛りするブラジル料理屋があった。その店に訪れるブラジル人客の中に、学校に通っていない子どもも来ていた。
そんな田舎にブラジル人が集まることも異様だが、親たちに混ざって話す彼女は、すごく大人びて見えた。こちらは友達と部活動帰りに多国籍料理を食べるような気楽な身分だったので、そのギャップにショックを受けた。
日本の子どもが塾や習い事に勤しむ中、学校にも通えないデカセギ子弟。今回の不況で親が解雇され、ブラジルでも稽古事を辞めざるを得なくなった子も出ている。
子どもが義務教育さえも受けずに、早く大人になってしまうことは、ある意味不幸なことである。子どもらしい時間をデカセギ子弟にも与えられる日本社会であってほしいと願う。 (綾)