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G20サミット=ブラジルはEU協調路線へ=欧米中の調整役に=金融制度根本改善に同調=ドル中心の米案退けるか

ニッケイ新聞 2009年4月1日付け

 金融システムの改善を巡って白熱した論戦が予想されるロンドンのG20サミットで政府は二十八日、米中心の金融システムにこだわる米案に対し、金融管理のグローバル・システム設置を提案するEU案を支持する意向を明らかにしたと二十九日付けエスタード紙が報じた。ブラジルは、中央銀行の卓越した金融システム管理で世界に一頭地を抜いていると自認し、グローバル金融の改善にはノウハウを提供できると考え、米案を退け同じ考えのEU案へ同調することにした。
 
 ブラジルは、バーゼル金融管理委員会の主力メンバーと金融安定化フォーラム(FSF)委員を兼任する立場で、G20サミットへ出席する。さらにIMF(国際通貨基金)やIBRD(世界銀行)の議題に、米国の後見で議決権も与えられるので、「本来の力にあった役割が与えられた」とセルソ・アモリン外相は評価している。
 EU案が多数国の支持を得たことで、米中心の金融システムにこだわるオバマ米大統領の執拗な抵抗が予想される。米大統領は先週、一兆ドルの不良債権買取りと金融改革への特権授与を議会へ要請したばかり。それなのにG20の風向きが、EUへ変わりつつあることを看過できない。
 情勢の変化を危惧した米政府は、G20各国に独自の金融管理を行わせ、先進国をも含む各国のマクロ経済と金融をFSFに監視させるらしい。FSFには、貿易のWTO(世界貿易機関)のような役目を負わせる。
 恐慌の行方を案じる世界の目は四月二日、ロンドンのG20へ集中している。これまでの概ね了承済みのサミットとは違い、歯車のかみ合わないサミットになると見ている経済評論家のミング氏は、次のように予想している。
 EUは、病気の原因を解明して根本治療を要求。それにはタックス・ヘイブンや銀行だけの取り締まりでなく、全金融システムを見直す。米国は、改造前に火事の消火が先決だといっている。
 国庫からGDP(国内総生産)の二%を出し、国家経済を動かして失業対策に当てろとEUが米国へ忠告。米国は金融危機で動転し、的外れの対処療法でしのごうとしている、とEUは揶揄した。何兆ドルもバラまいて、後でどうなるかだ。
 中国は、二兆ドルの米国債を持っている。ドル通貨の下落は、明白だ。それでドルに代わる基軸通貨の創設をG20で提案するらしい。
 ここで登場するのが、ブラジルのようだ。ブラウン英首相がブラジルへ飛んできた時、ルーラ大統領は首相に「金融危機の原因を生んだのは、青い目をした白人だ」と先進国の責任の重さを訴えた。今回も、タックス・ヘイブンの廃止と先進国の拠出金増額を提案すると思われているが、それ以上に、欧米アジアにまたがる調整役としての役割も期待されそうだ。