SC州=伐採励行の州条例承認=農家の圧力に屈した議会=専門家は水害拡大を懸念
ニッケイ新聞 2009年4月2日付け
〇八年十一月の水害で一三五人の死者を出し、今も避難所生活者がいるサンタカタリーナ州で、川や水源地周辺の植生保護域の縮小を認める州条例を承認したと一日付伯字紙が報じた。
三月三十一日の州議会では三八人中三一人が賛成という新条例は、環境保全のため、川から三〇メートル、水源地から五〇メートル以内の地域の伐採などを禁ずる連邦令を、五メートル以内の植生破壊禁止とするもの。
当日の州議会には、農業生産者らが大挙し、新条例承認を歓迎した。これは、この条例が不法な開発行為で切り開かれた川周辺の農耕地を合法化し、これまで開発できなかった地域での農業を可能にするためだ。
三十一日付エスタード紙によれば、同州では、農地が五〇ヘクタール以下の小規模農家が二〇万を数え、小規模農家が所有する土地は、州面積の九〇%を占める。
これらの小規模農家にとり、川や水源周辺の開発を禁ずる連邦令は、農耕地や牧場拡大の大きな障壁となっていた。
そのため、違法と承知で開発を進める農業生産者も後を絶たず、二〇〇〇~〇五年の同州の森林伐採は、他州の伐採が減少する中でも、一九九五~〇〇年比で年七%ずつ増加し、時代に逆行する州との批判も出ていた。
新条例適用は農業地帯にのみと言うが、この採決に懸念の色を隠せないのは、環境問題の専門家や検察局、防災局などの担当官だ。
昨年の水害で最も多くの死者が出た地域では、植生保護区の八五%で不法伐採や植生転換がされていたという。植物の根が張らない土地は、地盤が緩んで地滑りや土砂崩れが起き易く、保水力の無さは、急速な水位の上昇や洪水につながる。
低地の住宅があっという間に水に覆われ、土砂崩れ頻発の記憶も生々しい中で、温暖化にもつながる新条例承認となったことで、専門家は「将来の州民は、連邦令を無視した新条例故に苦しむ事になる」と断言した。
頻発が予想される将来の水害より、目の前の利益や便宜を優先した農業生産者や議員達の判断の結果は、誰がいつ刈取るのだろうか。