ニッケイ新聞 2009年4月3日付け
山形県の鶴岡東高校サッカー部から選手、コーチなど十八人が三月二十四日からブラジルを訪れた。三十一日までの日程で、練習や地元チームとの親善試合などを経験。二十九日にはサンパウロ市の山形県人会館で会主催の歓迎昼食会が開かれ、親睦を深めた。
同校のブラジル遠征は昨年七月、鶴岡市で開かれたサッカー交流祭にブラジルからニッポン・カントリークラブが参加した際に、訪日団長の国井精さんが提案。同校で〇二~〇三、〇五年にコーチを務めたファビオ・カシオ・ゴンザガさんがアチバイアに住んでいることもあって実現した。
正午前から開かれた昼食会には、県人会から鶴岡市出身の会員など二十人あまりが出席した。斉藤広副会長は、「ブラジルで学ぶことを、サッカー以外でも、これからの人生に生かしてほしい」と激励。受け入れに関わった国井さんもあいさつし、歓迎会の開催に謝意を表わした。
「サッカーをやるものとして、一度は子供たちをブラジルに連れてきたかった」。あいさつした渡會健史・同校監督は訪問を喜ぶとともに、「地球の反対側に住む日本人、山形の人たちの歴史や苦労を子供たちに学んでほしい」と語った。
その後は選手たちと県人会関係者がそれぞれ自己紹介し、昼食へ。会員が野菜などを持ち寄り、同会婦人部(斉藤佳子部長)会員が朝から準備した手料理だ。テーブルをはさんで向かい合い、料理を食べながら午後一時まで話ははずんだ。
現在はサンジョゼ・ドス・カンポスのコーチを務めるファビオさんは、「子供たちにサッカーを教え、自分も日本の文化をたくさん学ぶことができてよかった」と当時を振り返る。
一行は着伯後、アチバイアでの練習のほか、ニッポン・カントリーや、サンカエターノ、サンパウロなどのユースチームなどと親善試合を行なった。
そのほか、サンパウロ対パルメイラスの試合観戦やセアザ見学なども経験した。「これまでたくさんのチームを迎えたが、今回ほど行儀の良い子はなかった。先生方のおかげです」と国井さん。
遠征チームキャプテンの丸山準矢さん(17)は、「ブラジルの選手は上手いし、体が強い」と試合を振り返り、また「皆いろいろなことを話してくれて、やさしい人ばかりでした」と満足した様子。渡會監督は「今回試合したプロ下部チームの選手たちのような熱意と強い気持ちを持って戦えるチームになってほしい。試合には負けているけど勉強になりますよ」と話していた。
全員で記念撮影後、一人一人と握手を交わし、一行は次の試合会場へと出発した。