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オースチン・レーティング=大手5行が77.5%占める=銀行の寡占化進行=融資の正常化遅延の理由=カルテル化懸念の声も

ニッケイ新聞 2009年4月7日付け

 米国のリスク格付け会社オースチン・レーティングは三日、ブラジルの銀行業務は一九九四年に大手五行で五六・八%を占めていたものが、二〇〇八年十二月には七七・五%を占め、銀行の吸収合併による寡占化が進んだと発表したことを六日付けエスタード紙が報じた。零細小企業が融資取得難を訴え金融危機前の水準に復帰できないのは、銀行の寡占化が原因だと中央銀行は見ている。〇九年二カ月間のクレジット供与は、前年同期比で二三・九%減も落ち込んだ。
 
 金融アナリストの分析では、イタウーとウニバンコの合併やブラジル銀行によるノッサ・カイシャの吸収、ヴォトランチンの半分買収、外資系銀行の吸収による再編と中小銀行の破綻が寡占化に拍車をかけた。
 銀行の寡占化は、国際的金融危機の到来を予測した大手銀行による生き残りへの知恵らしい。困ったのは、防衛手段のない中小銀行。さらに本店が経営破綻の瀬戸際にある外資系銀行のブラジル支店が、休業状態に追い込まれたこともある。
 それでも金融危機の嵐が吹き荒れる中、辛うじてイタウー・ウニバンコ、ブラデスコ、サンタンデル、ブラジル銀行、連邦カイシャの五行が頼れる銀行として生き残った。銀行に求められたのは、嵐に耐える敏速で果敢な対応であった。
 クレジット・コファセ保険会社のブランコ支店長は、生き残りが第一で、クレジットは二の次という。同支店長は「本音をいうなら、経済情勢が危機以前の状態に戻らないと、安心して金は貸せない。別の言い方をするなら、銀行は政府の専門家より先が見えなければならないのだ」と述べた。
 オースチン・レーティングによれば、ブラジルの銀行は一度に二つの試練に直面した。一は嵐に耐える銀行の骨組み。二はまともに襲った流通量枯渇に対する銀行間の態勢。同社はブラジルの銀行業務を、両点で合格とみなした。
 CMN(国家通貨審議会)が三月、中小銀行救済のためクレジット保証基金へ公的資金を投入したのも正解であったとオースチン・レーティング社は評価した。現在の市場の信用力だけでは、資金の調達は困難だからだ。国際金融の投資家は遠からず、中小銀行の債券購入に戻ってくると同社は見ている。
 中小銀行には、零細小企業を助ける社会的使命がある。殆どのブラジル人起業家は、中小銀行の門をくぐる。銀行が生き残るために寡占化し、銀行が銀行のためのものになる状況は一種のカルテル化であり、それを懸念する声が出ている。