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病院で母2人の取り違え=1人は死亡、1人は退院=2つの家族の数奇な運命

ニッケイ新聞 2009年4月7日付け

 産院での新生児取り違えはよく聞くが、リオ州サンゴンサロの公立病院で、脳血管障害で入院した五四歳と五七歳の女性患者を取り違え、家族が悲喜こもごもの経験をするという事件が起きた。
 三、四日付G1サイトや四日付エスタード紙によると、マリア・リッタ・アウヴェス・ドス・サントスさんが脳血管障害のため救急外来へ運び込まれたのは〇八年十二月二十二日。当時、同病院にはやはり脳血管障害患者のヴィウマ・マリア・カボクロ・フェルナンデスさんが入院中で、名前、年齢、顔立ち、髪の色や背格好まで似ていたことで、院内での取り違えが起きたようだ。
 リッタさん名義のカルテからいくと、ヴィウマさんの死亡は十二月二三日で、一週間後に死亡連絡を受けたリッタさん家族は、婿のマルコスさんが遺体を確認し、リッタさんではないと抗議している。病院側は病気のため容貌変化と説明し、死亡証明書を手渡した。
 一方、実際には十二月に死亡していたヴィウマさんの娘ルシアナさんも、病院訪問時に「私の母じゃない」、「何言っているの。自分の母親が判らないなんて」とのやり取りがあったという。
 ここでも、病気故の容貌変化で、間違いなくあなたの母だと言われたルシアナさんが、記憶障害を起こした状態のリッタさんを引取ったのは三月二十日のことだった。
 夫から別人だと言われても、母の生存を信じたいルシアナさんが、自分自身に本当の母だと思い込ませた状態で二週間が過ぎた時、リッタさんの意識が戻り、真相解明と相成った。
 リッタさんの娘ジョジアネさんは、出産のため遺体確認にも埋葬にも立ち会えなかったが、埋葬から三カ月以上経て届いた母生存の知らせは晴天の霹靂。ジョゼアネさんの代わりにルシアナさん宅を尋ね、姑に出会ったマルコスさんの喜びと、母は他人名義で埋葬されたと知ったルシアナさんの悲しみは天地の差だ。
 リッタさんは既に実の娘の元に引取られたが、ヴィウマさん名義のカルテは、二月の入院で退院日は記入なしの状態ともいい、普通では起こりえない母の取り違え事件の真相解明はこれからだ。