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東西南北

ニッケイ新聞 2009年4月7日付け

 三日に米国で起きた銃乱射事件の被害者一三人の中にブラジル人がいた。ペルナンブコ大学の数学教師アウミール・オリンピオ・アウヴェス氏で、〇八年九月~七月の予定で専門分野と英語の研修の最中だった。中国人やハイチ人など、八カ国の英語研修生が被害にあった同事件は、二〇年以上米国にいても英語がちゃんと話せないと馬鹿にされたベトナム人によるものらしい。そんなことを言い出せば、銃を手にしなければならない移民はどれだけいる?
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 イタリアで六日発生の地震はマグニチュード六・三で、六日十四時現在死者一〇〇人以上というが、この時点でのブラジル人の死者は出ていない。一方、ベネズエラ北西部でも五日午後マグニチュード四・三の地震が起きたが、こちらは具体的な被害報告が出ていない。また、チリではサンチアゴの南方六〇〇キロにある火山の震動や噴煙排出が強まり、六日には周辺地区の住民や同地区の国立公園訪問中の観光客への退去勧告が出ている。サンパウロ市周辺でも、五日の雨で土砂崩れや洪水発生の報告が出ているが、自然の力は御し難い。
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 リオ州政府がリオ市内の一一のファヴェーラを三メートルのコンクリートの塀で囲むと発表したのに対し、リオ市環境局が、木やペットボトルなど、環境に配慮した六〇センチ程度の塀をとの提案を返した。市街化計画と環境保護が目的だと州政府はいうが、既に鉄筋コンクリートの塀が築かれ始めた所もあり、ファヴェーラ住民を差別する行為との批判の声も出ている。高級住宅街をファヴェーラから分離、保護するためとは口が割けてもいわないだろうが、本当に必要なのは塀ではなく、照明や治安対策、風通しの良さでは?