ニッケイ新聞 2009年4月8日付け
進出五十周年の節目に大躍進を実現――。ヴァロール紙は三月三十一日付けで、〇八年の国外からの資金調達ランキングを発表し、邦銀からは昨年半世紀を祝ったばかりのブラジル三井住友銀行が、シティバンク、サンタンデール、HSBCに次いで第四位(前年二十二位)に躍進したと大きく報じた。
同行の窪田敏朗社長は記事中で、「ブラジル内市場での外資調達分野で成長して、主要行になることを目指して三年前に赴任した。ブラジルにおけるシンジケートローンへの取り組みが認められたのは大変光栄なこと。私たちにとっても夢が現実したという思いです」とのべ、伝統的に優位を占める欧米系銀行を押し退けて、かつてなかった急成長を実現させたことを喜んだ。
分野別ランキングにおいても、同行は(1)公共セクター向けファイナンス部門、(2)ECA(輸出信用機関)ファイナンス部門、(3)円・ユーロ調達部門の三部門で邦銀としては初の第一位に輝いた。
これは、昨年同行が主幹事として取りまとめたサンパウロ地下鉄宛のJBIC(国際協力銀行)融資や、ペトロブラス宛NEXI(日本貿易保険)ファイナンス等の実績が大きく影響した。
同行からの〇八年の総調達金額は三十三億四百万米ドルで、前年六億六千百万米ドルの約五倍の規模に達した。
同紙はこの実績に対して、「SMBCはブラジルにおける外貨調達のキープレーヤーになった」と高く評価した。さらに、昨年米国でシティバンクよりECAチームを迎え入れて陣容を強化したことで、ブラジル企業にも様々な制度融資を提供出来る体制になっていることを紹介した。
一例として、先月二十七日に調印したウジミナス宛IDB(米州開発銀行)ローンを挙げ、IDBにとっても日本で組成された最初の案件となったと伝えている。
加えて、こうした各国のECAファイナンスの活用のみならず、ドルの流動性が厳しい金融危機下にも関わらず、大型の円ファイナンスを提供するなどの同行の融資アレンジ力を高く評価した。
また、国内産業界でクレジット枯渇が声高に叫ばれる情勢のなか、これだけの外資を調達したことが評価されたことに関し、内田肇ゼネラル・マネージャーはニッケイ新聞の取材に答え、「ブラジルのために役に立っていることが実感できてやりがいがある。みなさんのおかげ。とてもうれしい」と感謝した。