ホーム | 日系社会ニュース | 豊田豊さん初めての回顧展=絵画、モニュメントなど一堂に=彫刻美術館

豊田豊さん初めての回顧展=絵画、モニュメントなど一堂に=彫刻美術館

ニッケイ新聞 2009年4月9日付け

 造形作家の豊田豊さんが十四日から、サンパウロ市のブラジル彫刻美術館(MuBE、ヨーロッパ通り218)で初めての回顧展「A leveza da flor(花の軽さ)」を開く。十四日午後七時からイナウグラソン。十五日から五月六日までの開場時間は午前十時から午後七時(月曜休館)。入場無料。
 山形県天童市出身の豊田さんは東京芸術大学を卒業後、一九五八年に渡伯。六五年から滞在したイタリアで造形をはじめ、帰伯後六九年の第十回サンパウロビエンナーレでイタマラチー買い上げ賞、ボストン銀行賞などを受賞した。
 モニュメントも数多く、これまで日本各地に四十二、ブラジル内で二十点を製作したという。
 うち十三点は日本移民百周年を記念して作ったもの。場所もバストス、ボツカツ、アルジャなどサンパウロ州、ミナス州サンゴタルドなど各地に散らばる。
 ロンドリーナの中川トミ広場には高さ二十メートルの作品、サンパウロ州レジストロでは精米、製茶機械の部品を使った七つのモニュメントが市内各所に設置されている。
 「たくさんの人が手伝ってくれたおかげ。年配の方にも喜んでもらえてよかった」と話す豊田さん。「百周年の大事な節目にたくさんのモニュメントを製作できたのは、本当に幸運な事でした」と振り返る。
 「一度整理をしたくて」と開催を決めた初めての回顧展。絵画、彫刻のほか、これまで手がけたモニュメントの写真や模型、さらに展示会のカタログや新聞記事も紹介する計画。十五歳の時に山形の絵画展で一位に選ばれた作品もある。
 金属の表面を鏡のように仕上げた作品でも知られる豊田さん。こうした技法はそれまでなかったものだという。共に来社した夫人の絹子さんは、「作家として豊田がやってきた六十年間の仕事を知ってほしい」と話す。
 イナウグラソン当日は、映像上映や音楽演奏、舞踏家エミリ・スガイさんによるパフォーマンスなども行なわれる。豊田さんは、「興味のある方はどなたでも、気軽にお越しください」と来場を呼びかけた。
 問合わせは同美術館(11・2594・2601)。