ニッケイ新聞 2009年4月10日付け
邦字紙が拠って立つのは、常に移民や日系社会の側だ。もちろん海外在留邦人の常として、日本への熱い想いや日本政府への好意は、日本の日本人より遥かに強い。それは邦字紙も同じだが、是々非々であることは論を待たない。確かにブラジルメディアにおいて、日本が不当に非難されるのは見ていられない。かといって日本政府がやっているから全て是ではないし、デカセギもまた日系社会の一部だと認識する。殆どの読者の親族からもデカセギが出ているだろう。デカセギに不利益があれば、声なき彼らに代わって非を訴えていきたい。
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二月の刊行予定だった写真集「百年目の肖像」をようやく刊行することとなった。すでに「いつ出るのか」と読者から、お叱りの声が届いているが、どうかご容赦願いたい。新年号で購読者は二割引(六十四レアル)とお知らせしたが、お詫びの意味と変わらぬご愛顧を願い、三十レアルでの販売となった。今年の新規購読者は無料となるので、購読を考えている方はどうぞこの際に。詳しくはニッケイ新聞(11・3208・3977)まで。
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日本は淡いピンク色の季節だが、満開の桜の木下で在日ブラジル人子弟はどれだけ進学・進級できただろうか。京都新聞によれば、滋賀県甲賀市にある日系ブラジル人学校「南米国際学園」も、三月いっぱいで閉鎖に追いやられたという。大学全入時代と言われている日本で、公立校にスムーズに転入できず未就学のデカセギ子弟が出てしまう昨今。小・中学校にすら行けない子がいるとは何とも不憫だ。