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米財団パウマー副理事長=保護主義は恐慌を煽る=公的資金投入は誤り=世界は危機回復に逆行=いつか来た道を歩む?

ニッケイ新聞 2009年4月15日付け

 ポルト・アレグレ市開催の第二十二回自由フォーラムに招かれたアトラス経済調査財団のトム・G・パウマー副理事長は十二日、「ロンドンのG20サミットで各国首脳が決定したことは、金融危機の回復に逆行するもの」と言明したことを十三日付けジアリオ・デ・コメルシオ紙が報じた。世界が犯しつつある大きな危険は、保護主義を煽ること。これは病状を悪化させるだけと警告した。「二日酔いの回復に、カイピリニャを呑むようなもの。潰れるべきものは、早く潰すべきだ」と批判した。

 金融危機を解決するのに、どの位の時間がかかるか。それは各国政府が採る政策次第というのが、同副理事長の意見。金融危機を引き起こした最大の敵は、保護主義というルーラ大統領の慧眼は正解だと喝破した。
 第二が公的資金の投入。前回の恐慌を教訓とするなら、今回の恐慌は〇九年末までに解決できる。下手な保護主義を施し、ダラダラ引き伸ばすなら、解消までに十年かそれ以上かかる。
 現在の国際的危機に際し、ブラジルの対策は的を得ている。世界各国は大衆迎合路線を採り、国内産業の保護に傾注し、自国の安泰しか頭にない。世界は現在、指導者が不在なのだ。
 米国は愚策の連続であった。マイナス政策金利やファニー・メイやフレジー・メックの救済、米国民を慢性的な怠惰病に陥れた不動産債券など。この病原菌は、安易なローンであった。
 クレジットは、各国経済の規模に応じて出さないとバブル(泡)になる。雇用維持のために公的資金を投じて企業救済を行うのは、邪道。倒産する企業は、性根が腐っている。肥料をつぎ込んでも無駄。誤った政策のために国民の血税を使うのは、税金のムダ使い。
 人類は一九二一年、恐慌を経験した。恐慌は一九二九年までくすぶり続け、第二次世界大戦という悲劇の結末をもたらした。
 同副理事は「前回の恐慌が長引き、悲劇で終了したのは、二つの誤った政治が原因だ」と指摘する。一は人為的高値維持。二は保護主義。この二つが、世界経済を歪めた。G20のうちで十七カ国が保護主義を打ち出したことで、「世界はいつか来た道を歩んでいる」と警告している。