ニッケイ新聞 2009年4月15日付け
「第五回農業婦人大会」二日目は、各地婦人会などの活動内容を紹介し合った。
グァタパラ文協婦人会はイベントの食事を担当するほか、味噌や餃子を作り各家庭に持ち帰っている。渡辺千代子さんは、「食べるだけが幸せだと思っていたけど、それをパッキングすれば商売になる」と新たな試みとして、五月ごろに近くの町で販売する計画を発表。
「今までお金になることをやっていなかったけど、二月に訪問したカッポン・ボニート文協で婦人部が月一回フェイラ・ダ・ルーアを開催し、日本食を販売しているのを見て、私たちもやってみようと思った」と、横の繋がりが新たな動きに繋がっているようだ。
また、ボリビアのコロニア沖縄農牧総合協同組合(CAICO)婦人会元会長の比嘉シズエさんは、デイサービスや乳幼児育児の講演会など、ブラジル日系社会とは違った特色のある活動を発表。同会では六十五歳以上は高齢者となり、さまざまなケアが受けられる。
イタペセリカ・ダ・セーラ市の西脇マリーアさんは、ADESC会員としてサンパウロ市内SBC病院のフェイラに参加し始めて十一年目。そこでの出会いや触れ合いが生き甲斐になっているという。
西脇さんが販売しているものはボーロから弁当などと幅広い。漬け始めた頃は二十キロだった手製らっきょう漬けは現在二百四十キロに増え、フェイラの前日は徹夜するほどだというが、「お客さんに喜んでもらえて嬉しい」の一心だ。
プロの味として仲間内でも評判の栗饅頭を作る鳥原寿子さんの発表には、全員驚いた様子だった。餡作りに八時間、そのうち三時間半は付きっきりで鍋の中で混ぜ合わせるほどの仕事量をこなし、手元に半分の利益が残る。「家事しながらだし疲れるけど、お客さんと会ったりADESCの仲間と話すのが楽しい」と充実した表情で話していた。
最後に、玉腰豊子副会長が現在のADESCの活動を紹介した。SBC病院や青葉祭りのフェイラのほか、慈善カラオケ大会、憩の園への訪問、国士舘桜祭りやアルジャ花祭り、日本祭りへの参加など、だんだんと活動の場が広がっている。
「青葉祭りではアパートで一人暮らしの方がおしゃべりを楽しみに早朝から飛んで来てくれる。おばさんパワーが人々に生きる力を与えているよう」と話す玉腰さんの表情は明るい。
ADESCは五月に、ボリビアCAICOへの訪問、今年末には記念誌と料理本の出版が予定されており、今後も活発な活動が期待できそうだ。
各発表後は、参加者が四グループに分かれて今大会の反省点と要望を話し合った。「老後の生き甲斐を学べる講演をしてほしい」「ポルトガル語での講演の場合はなるべく通訳をつけて」「マナーを学びたい」など、積極的な意見が出され和気藹々のうちに今年の大会は閉幕した。(おわり)
写真=ブラジル各地、ボリビアから集まった婦人部のリーダーの皆さん