ディーゼル油値下げ検討=青息吐息の運送業=運賃半分が燃料、積荷は半減=業者80%はローン滞納
ニッケイ新聞 2009年4月16日付け
金融危機による不況緩和と経済振興のため政府は十四日、ディーゼル油を値下げする意向と十五日付けエスタード紙が報じた。かねて運送業界は、ロウセフ官房長官に同油の三〇%値下げを陳情した。政府としては、要請には減税で応え、生産原価の六〇%に相当する精製費は固定、ペトロブラスの収益は維持する考え。原油相場は〇八年五月のバレル当たり百十ドルから、十四日は五十一ドル九六セントへ下がっており、差額を市場へ返還する。ペトロブラスが現在供給する同油価格は、米国市場価格より五〇%割高とされる。
ディーゼル油値下げ実施の日は明示していないが、予想では五月からという。同油の値下げは、ルーラ大統領とペトロブラスのガブリエリ総裁の間で十三日、話した。
運送業界からの陳情を受けるまでもなく、ブラジルの同油価格は現在の情勢下では重荷であり、ペトロブラスも積極的に対処すべきであった。官房長官にとって同油価格は、大統領選の動向を左右する問題でもある。
運送業界要求の三〇%値下げは微妙だが、時間を争う問題であることに異論はない。大統領の近親にも運送業者がおり、大統領は同油価格で再々不満を聞いた。
値下げは、ディーゼル油だけでよいのか。政府は昨年、Cide(経済統轄納付金)の減税を行い、ガソリンの値下げを行なった。自家用車族を喜ばせたが、思わぬ反感を買う破目になった。
今回はペトロブラスの収益を減らさず、運送業者を喜ばす。同油価格の六〇%は、ペトロブラスの生産原価と収益が含まれる。他に配給と混合用バイオディーゼルの経費が一九%、ICMs(流通税)が一三%、Cideその他が八%である。
同油については政府とペトロブラスの間に収益協定があり、前以って必ず了解を得る。政府は先にガソリンのCideを勝手に減税、価格引き下げを行った。同油では、それができなかった。
ブラジル経済は、ディーゼル油で動いている。同油で調整すれば、経済効果が顕著なのは自明の理だ。運送業者の場合、輸送費の五〇%は同油という。個人の運送業者は、国道の通行料とメンテナンスがある。
これでは、トラックのローンが払えない。ローンを滞納したら、公立銀行で立て替えてくれという注文だ。民間銀行でローンを滞納したら、商売道具のトラックを差し押さえられるからだ。
個人の運送業者は全国で百万人いるが、八〇%はローンを滞納している。その上、不況で仕事は半減。「もしも、運送業がお国のために役立っているなら、我々のためにも慈悲を乞う」と政府へ泣きついた。