ニッケイ新聞 2009年4月16日付け
労働省は十四日、労働組合に組合員として加入する労働者が、〇八年四月の四百二十八万五千人から十二月には四百八十三万八千人と一三%も急増と発表したことを十五日付けフォーリャ紙が報じた。これでブラジルの労組に、この八カ月間だけで五十五万三千三百六十二人が新たに加入したことになる。
組合の駆け込み寺化は、組合員の雇用維持が影響したようだ。労組の概容は、ルーラ大統領が育てたCUTがダントツの組合員を擁する。続いてForsaSindical、UGT、NCS、CTB、CGTB、Conlutas、CSP、UST他多数。
労組の主な収入は、職種労働者数に比例して政府が企業から徴収する組合税だから、組合間の労働者争奪戦も激しい。
労働者自身も、一年に一日分の給料を組合税として納める。労働者が払った〇八年の組合税は、総額で六千二百九十六万八千レアルだ。
その他に組合員になると、所属する組合へ会費を毎月払う。労組には組合税と会費という大きな財源があり、一つの政治力を形成する。
ダントツのCUTは、傘下に五十四の中小労組を抱える。Forsaは、二百六組合を有す。しかし、労組にとって重要なのは、組合員であって、僅少の組合員しかいない中小組合ではない。
組合員数は、正規雇用の全労働者千九百七十万人の二五%と労働省は見ている。組合員になることは、義務ではない。しかし、組合員になると、組合が組合員を解雇しないように企業と交渉してくれる。インフレ・プラス・アルファのベア交渉もしてくれる。
特に不況の昨今では、組合の存在を感じる。組合は最近、政府交渉や労使交渉、組合員勧誘のため交渉のプロを採用。Forsaは〇九年、交渉のプロを月給三千レアルで十五人採用した。プロを中心にスタッフを結成し、各州の地方本部を巡回している。