ニッケイ新聞 2009年4月18日付け
ルーラ大統領は十六日、低金利時代へ移行するため、ポウパンサ(貯蓄投資)の金利も引き下げたいとの意向を表明と十七日付けフォーリャ紙が報じた。政策金利を年九%とするなら、ポウパンサは投資ファンドよりも有利になり、多国籍企業にとって格好の標的となる。これまでポウパンサは年利六%プラスTR(参考金利)で固定され、IR(所得税)は免税とされた。投資ファンドは、市場原理に従い課税対象。ポウパンサは貯蓄額に従い、金利幅を格付けする方針だ。
国民の貯蓄意欲を殺がず、低金利政策により景気回復と産業振興を達成する政府の考えだ。そのため小口貯蓄者の対応が問題となる。小口といえども、経済の基礎を支える縁の下の力持ち。
現行システムでは、ポウパンサが大口投資家に不労所得をもたらし、生産意欲を衰えさせる。それを避けるため、小口と大口を区別する考えのようだ。貯蓄額に従い、金利格差をつける。免税と課税対象に分ける。
決定は、二カ月以内に出る。食べたいものも食べず、貯めたヘソクリの金利が下がる。これは低金利時代へ移行するため、避けて通れない関門。まず現行の政策金利一一・二五%は、近く九%へ下げる見通しがあるようだ。
ポウパンサ金利は法令により六%プラスTRで固定され、投資ファンド金利は市場原理にさらされる。これでは低金利時代、割高なポウパンサ金利では政府の資金繰りが困難になる。政府財政がひっ迫するから、そのため銀行から高利資金を調達することになる。
政府は、ポウパンサ金利に関する暫定令を草案中だ。内容は大口になるほど、金利が減る。小口ほど儲かるが、六%以下になる見込み。大口には利率が低く、税率が高い形の調整となる。
現行のポウパンサ金利で貯蓄者本人は潤うが、政府がポウパンサを資金源として不動産購入者にローンを組ませる時はポウパンサ金利に上乗せした金利を課すことになり、その高金利に耐え兼ねて債務不履行者が続出する可能性がある。
政府はポウパンサ金利の法改正で、議会と話し合う。国民の貯蓄意欲を保つ金利は高く、不動産購入ローンの金利は低く。どこで双方は、線引きをするか。貯蓄とローンの攻防戦はこれから、政治家にとって頭痛の種になりそうだ。