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文協選挙=両派のマニフェストを問う=小川派「直接選挙制復活」=体制派「公約は検討中」

ニッケイ新聞 2009年4月18日付け

 残りわずか一週間、今月二十五日に迫った文協評議員・理事会選挙。木多喜八郎氏を会長としたシャッパ「統合と進歩」と小川彰夫氏を会長としたシャッパ「チェンジ」が提出・受理され、一騎打ちの形となった。本紙編集部では投票権を持つ評議員の動向を調査した結果、「公約や何をしたいのかがよく分からない」との声が多くあった。これを受け、両派にマニフェストと、文協が抱える諸問題(会員減少、史料館、国士舘、デカセギ、地方との連携)に対する考えを「チェンジ」側は小川氏、「統合と進歩」側は副会長候補である山下譲二・栢野定雄氏に聞いた(木多氏とは十七日午後四時現在連絡が取れなかった)。

【マニフェスト】
 現第一副会長である山下譲二氏によれば、マニフェストはシャッパ提出後の十七日現在、「作成中」。
 第二副会長の栢野定雄氏は、「ん~マニフェストねえ。今のメンバーはあまり宣伝が上手じゃないけど、目に見えないことをやってきたんですよ」と話す。その二年間の成果についても、発表段階にないという。
 一方、チェンジ側は、小川、谷広海両氏が以前から一貫して主張してきた「会員による直接選挙」を第一に掲げる。
 続いて、現執行部が六年かけて実現できなかった「大・小講堂への空調設備設置」も公約に挙げ、会員重視の姿勢を打ち出している。
 なお、二十二日午後八時から、文協貴賓室で本紙・サンパウロ新聞共催による公開討論会『文協の将来を考える』のテーマともなっている文協が抱える諸問題に関して、それぞれに五つの質問をぶつけた。

 【会員減少問題】
 「難しい問題だけど、とりあえずは日系企業に支援してもらう。日系企業が支えないで誰が文協を支えるの」と栢野氏。
 シャッパの中に団体を取り込んでいる小川氏は、「すでに団体の会員らが『入会する』と言ってくれている。もちろん、会員の希望を聞くのが会長の仕事。それを実現していけば、変わると思う」。

【史料館独立問題】
 独立法人化が検討されている移民史料館に関しては、両者ともに文協の組織として運営していきたいと意見は一致している。

【国士舘運営問題】
 地方文協が運営を申し出たものの、評議員会によって否決された国士舘の運営に関して小川氏は、「シャッパの中に地元関係者も入っている。もちろん文協が運営、活用していく」と話す。
 これに対し、地元による運営に理解を示していた栢野氏は、「はっきりいって何もやっていないのが現実。ただ、周辺にホテルができるなどして土地価格が上がっており、状況が変わっているるので考えないといけない」。

【デカセギ対応】
 「五月末にASEBEXや青年文協が検討する予定になっている。何もやっていないという訳ではなく、検討している状態」(栢野氏)
 小川氏は、「文協が最初から何かを始めるのではなく、すでに活動している団体や両国政府とのコーディネーターをする窓口のような役割であるべき」と説明する。

 【地方との連携】
 栢野氏は、「連携はもうあります。昨年だけで十三団体を理事らが訪れましたし、文協ネットも随分良くなってきている。我々もシャッパに地方文協を入れようという案もあったんだけど、理事会に出席してもらうのは、難しいから」。
 小川氏は、「すでに理事会・評議員会に地方四団体が入っていることで分かってもらえるのでは。文協ネットはもちろん、日系WEB(小川氏が運営している日系団体間の情報交換を目的としたサイト)と合体させ、連絡を密にしていく」と話している。

◎文協選挙・各派の公約と文協の諸問題についての解答

【公約】体制派              小川・谷連合

作成中               会員直接選挙の復活
                    大・小講堂への空調設備の設置

【文協の諸問題】体制派              小川・谷連合

◎会員減少企業に協力を要請する     シャッパに入っている団体の会員が入ってくれる

◎史料館独立独立はしない           独立はしない

◎国士舘運営検討中                地方団体と協力し、文協が運営する

◎デカセギ問題への対応青年文協、ASEBEXが     すでに活動している団体をまとめる役割を担う検討中  

◎地方との連携現在すでに連携があり、    シャッパ自体に団体が多く入っており、今後も続行する         文協ネットや日系ウェブ、交流事業も図る