ニッケイ新聞 2009年4月18日付け
百六人の文協評議員が二十五日に理事会・評議員会選挙を行い、二つのシャッパから一つを選ぶが、投票できるのは評議員のみ。
今現在、いったい何票対何票なのか。ざっと見て過半数以上を現体制が抑えていると予想されるが、小川彰夫氏が谷広海氏との連立を果たし、地方団体を取り込んで野党連合を形成したことから、かなりの勢いで勢力を増しているようだ。
そこで、数人の評議員に考えを聞いてみた。
「百周年協会の事務局にいたので、毎日のように上原先生が働いていらっしゃる様子を見て、感心してきました。ですから、現体制に一票を投じます」。今年の選挙で評議員に選ばれた清水リジアさん。現体制のシャッパ「統合と進歩」の評議員会の第三監事候補にも名を連ねている。
現体制の理事も務める小森廣さんは、「まだ言えない」と慎重派だ。両派からシャッパ入りの打診が来たが、今のところ、どちらにも入っていない。「今のままではダメ。団結を大事にし、日系政治家を育てること。これをしないと日系社会は小さくなるだけ」と考えている。
とくに昨年度までの一年間だけで百人以上の会員が辞めたことを憂いており、「改革しなくては」と力を込めた。
評議員選挙時には三派のシャッパに入っていた鹿児島県人会。園田昭憲会長は「マニフェスト(施政方針)を見て、来週の討論会も参考にし、相談役、参与などの意見を聞いてから決める」という。県人会の第一副会長の山下譲二さんが現体制シャッパの第一副会長候補になっていることもあるが、「かといって今のままでは…」との思いもあるようだ。
ノロエステ連合日伯文化協会の白石一資会長は、今年年頭からアラサツーバ日伯文化協会会長も兼任しているため、二票を持っている。
誰に入れると明言しない。「選挙前はあれやるこれやるといっても、実際やるかどうかは別」と冷静に見ている。「日系社会を背負っていくリーダーシップのある人を求める」。
さらに、「コンピューターを通して会議や投票に参加できるシステムを早く作って欲しい。そのためにサンパウロまで行くのは大変。地方の負担なく、参加できるやり方を早く作ってくれる人に投票したい」と具体的な要望を語り、地方のことをもっと親身になって考えるよう注文をつけた。
最も伝統的な女性を代表する団体、エスペランサ婦人会の熊谷美寿江会長も「まだ決めてない。役員で話し合うつもり」というが、堰を切ったように「今の文協」に対する不満を述べた。
文協ビル内に同婦人会はあるが、「安立さん(前事務局長)の頃は良かった。女所帯だから電気を直してもらったり、文協職員の人にお願いしても問題なかったけど、今はダメだとか、許可がいるとか。書類を出せとか言っている」という。
さらに「同じ建物の中でも、援協とか憩の園はお互いに融通しあいながらやっているけど、文協は冷たい。昔と違ってコンタクトがないし、誰が副会長なんだか顔も知らないまま」とこぼした。
現段階では誰に投票すると明言する人は少ないが、少なくとも今の文協の「改革」のスピードや方向性に関して、方々で不満が募っていることは事実のようだ。