ニッケイ新聞 2009年4月23日付け
TAM航空は二十日、三月にフランス政府から入国拒否されたブラジル人旅行者が二百六人と発表したことを二十一日付けエスタード紙が報じた。一月の入国拒否六十七人から見ると三倍強。二月には百十六人が、入国を拒否されている。
入国を拒否された旅行者多数は、ド・ゴール国際空港の移民局へ収容され、本国への強制送還を待っている。
同国で入国拒否を受けたのは、ブラジル人ばかりではない。しかし、ブラジルは「フランス年」としてサルコジ大統領を迎えて、宣言式典まで行なった後だ。記念すべき年だけに、伯字紙は無神経な取り扱いだと神経質になっているようだ。
フランス年の広報活動は二十二日、「近代的で対話を求めるフランス」の標語で始まる。しかし、同国政府が実際にすることは裏腹だ。
出入国管理局による不快な要求振りは最近、度を越している。バイア州イリェウス市サンタクルース州立大学のソランジェ教授は、学会出席のため渡仏。空港で七時間足止めされ、国境警察へ出頭を求められた。
入国書類や所持金などは条件を満たしたが、健康保険とフランス市役所発行の居住証明不備で即時退去を命じられた。些細な不備を抗議したら、官憲に対する不敬罪で同行のブラジル人十五人とともに国外追放のため拘束された。
在パリ伯大使館に助けを求めたが、電話番号が変更されていた。書類の不備は待ち時間で手配が可能なのに、フランス官憲は一切行動を許さず、ブラジルの在外公館は知らん顔だ。
パリのロドリゲス伯領事は、出入国管理局ドアーの中は航空機の出口であり、伯外務省の手が届かない場所だという。ド・ゴール国際空港の出来事はフランスの内政問題であり、ブラジルの介入は不可だと弁解。
フランスとは現在、三カ月の観光目的滞在はビザ不要だが、それが中止になると入国審査が厳しくなるのは明白。まだフランス政府に対する報復措置の懸念はないが、フランス人の間には忸怩(じくじ)たるものがあるようだ。