ニッケイ新聞 2009年4月24日付け
北伯、北東伯では先週末から強い雨が続き、各地に被害が出ていると二十三日付エスタード紙やG1サイトが報じた。
警戒宣言も出たバイア州サルバドール市では、二十一日夜、土砂崩れにあった家族三人が病院に運ばれ、母親は退院したが、一歳女児が死亡、父親はまだ入院中。二十二日に落ちてきた枝で頭蓋骨骨折の重傷を負った九二歳女性も入院中だ。
同市での十七~二十二日の降水量は、四月の降水予想の三二六ミリを超える三七〇ミリ。四月累計では四四〇ミリを超えたが、今週中はなお雨が続くと予想されている。
同市での被害は、二十二日朝までに一六カ所で洪水の報告の他、二十二日に一九カ所、総計二二四カ所の土砂崩れも起きている。土砂崩れの危険地点は四〇〇カ所あり、三〇家族が家を失った。
一方、アマゾナス州マナウス市内ではネグロ川の水位が一日に最大五センチずつ上昇し、二十二日には通常水位を二八・四六センチも上回った。
これは、大水が記録された一九五三年の同日記録を二三センチも上回り、専門家は過去五〇年で最大の大水と分析。五三年六月の二九・六九センチには達してないが、通常の水位上昇は日に二センチ程度だという。
同市防災局では市街地三〇〇〇軒、農地二〇〇軒の家屋に被害と推測しているが、二万人余りが湖上家屋で生活する同市では、三〇〇〇世帯が観察下に置かれている。同州内陸部での被災者は一八万人に達している。
また、マラニョン州でもメアリン川の増水が続いており、公設の避難所だけで一七〇〇家族が収容されているという。
この時期にアマゾン地域に強い雨が降るのは普通だが、五〇年に一度の大水との声と共に、サルバドール市では七〇%の家屋が不法建築で、被害を一層大きくしたとの記事もある。
アマゾンの雨雲発生メカニズムと地球温暖化や森林伐採の関係を指摘する研究報告もあるが、今回の大雨も関係あるとの指摘も。G1サイトでは奇しくも「世界地球の日(アースデー)」の二十二日までの北伯・北東伯の大水と、対照的な南大河州の旱魃を同時に報じており、何らかの関連があるのかもしれない。