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文協選挙=白熱した両候補討論会=木多氏「文協ネット」旗印に=小川氏「地方の声を聞け」=投票日は25日

ニッケイ新聞 2009年4月24日付け

 今月二十五日に行なわれる文協評議員・理事会選挙の両会長候補、木多喜八郎氏(シャッパ名「統合と進歩」)と小川彰夫氏(シャッパ名「チェンジ文協」)による討論会「文協の将来を考える」(ニッケイ新聞・サンパウロ新聞共催)が二十二日午後八時から、文協ビル貴賓室で行なわれた。投票権を持つ三十数人を含む百人を超える参加者が会場を訪れ、文協選挙に対する関心の高さを示す結果となった。日本語は山下譲二副会長候補に任せ、ポ語原稿を淡々と読む木多氏。一方、話すときには立ち上がり、日本語を中心に自分の言葉で発言した小川氏。双方の選挙に対する取り組み方の違いが明確に現れた形となった。

 司会は深沢正雪・本紙編集長、サンパウロ新聞の鈴木雅夫編集局長が務めた。
 深沢編集長は、百人近い来場者の中から評議員に挙手を求め、討論会の趣旨を説明、「文協選挙の争点を明らかにする実りある討論を」と開幕宣言した。
 それぞれマニフェストを話し、文協の問題やその解決方法などについて、その考えや具体的な方策を披露した。

小川氏の発言内容

 小川氏は、多くの団体が加盟しているシャッパを示し、地方との連携強化を公約に掲げ、「地方が声を上げ、声を聞くための構成」と話す。
 「サンパウロ市の個人だけが理事」だった従来の理事会を牽制しながら、「文協が代表機関だから、『サンパウロに来い』という態度を変えたい。コロニアのための文協を作るため、シャッパのメンバーで力を合わせたい」と力強く話した。
 公約は、「会員直接選挙復活」「文協小・大講堂の冷房完備」を掲げ、会員重視のスタイルを打ち出す。
 直接的な表現は避けながらも「日本文化協会といいながらも日本とのパイプは領事館だけ。代表であるには、日本・地方とのネットワークを作らなければ」と全伯日系代表機関を標榜する現体制の〃改革〃結果を批判。
 「若い世代が文協のことを知り、大事だと思っているでしょうか。現在の活動は、会員の欲しているものなのか。何故二千四百会員のうち、半分も会費を払わないのか」と会員制度や運営自体にも疑問を呈した。
 文協で四年間、副会長や広報委員長の経験を踏まえたうえで、「(今の体制で)物を決め、動かすのは大変。定款やルーツに負けてしまう。会長となった場合は、個人・法人に関わらず、会費を払ってくれている人、地方にもあいさつに行く。交流が始まると向こうの心が変わる。やる気、やる事があって汗をかいて動けば、大変なことはない」とやる気を十分にアピールした。

 木多氏の発言内容

 木多氏は座ってポ語原稿を読むスタイル。日本語は山下譲二第一副会長候補が担当した。
 「シャッパ名『統合と進歩』の通り、〇二年から始まった文協改革路線を踏襲しながら、コロニアのために働きたい。百周年も終わり、次の百年への向かって動き出す時期にきている。二、三世の若い世代、女性も入っていることに注目して欲しい」とシャッパのバランスについても説明しながら、「四年かけ進めている文協ネットで地方との交流、連携を深めていきたい」と話した。
 山下氏は史料館について、「九万七千件の史料を基にしたアーカイブ・プロジェクトを進めている。百年後に向けた大事な課題であり、移民の業績を残したい。いかに保存するかが難しいが、若い人への求心力になるのでは」と話し、〃問題〃ではなく、改善中であることを強調した。
 「文協はコロニアのために存在する。デカセギ帰国子弟に関してもサンパウロ州教育局とすでに提携し、支援方法を模索している。文協が行なうべき活動を活発化させたい気持ちで若い世代も頑張っている。魅力的な文協にするためみなさんにも協力して欲しい」と呼びかけた。

デカセギ問題、文協の課題は=木多、小川両氏が舌戦

 お互いの質問では、木多氏が現在の世界的不況によるデカセギの帰国問題などについての考えを聞いた。
 小川氏は、「私個人というよりは、すでに活動しているCIATEやISECと組んで問題にあたるべき。貯金を持って帰国する人や言葉ができる人をどう後押しできるかを考えるたい。皆の問題と考え、日伯両国政府を巻き込み、文協はコーディネーター役となるべき」と答えた。
 逆に小川氏は「文協ネットを先ほどから強調しているが、海外日系人大会で上原幸啓会長が発表したのが四年前。何人の理事が図書館や史料館を知っているのか」と質問。
 木多氏は、文協ネットの順調な進捗状態を繰り返し述べ、図書館の所蔵書籍や利用者数を挙げた後で、「情報はみな共有しており、昨年行なった文協フォーラムでも地方からの参加者に訪問してもらった」と話した。
 小川氏は最後に、「聞いていると『準備中』ばかり。『やった』とは違う。野党の発言なら分かるが、体制側は結果を見せるべきでは」との発言に会場からは拍手が起きた。
 続けて、「二百年後というが無責任では。それではいつまでも準備でいいことになる。女性や若者を入れたというが個人で何が解決するのか」と自身のシャッパとの違いを強調した。

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