ニッケイ新聞 2009年4月25日付け
より多くの青年に高等教育の機会を与えるため〇五年導入のProUni(低所得者向け奨学金制度)利用者に高級新車所有者ありと二十三日付フォーリャ紙が報じた。
家族一人当りの収入が一・五最低賃金以下(六九七・五〇レアル)で、学費の全額付与を受けている奨学生の〇・六%に相当する一〇〇〇人が、〇五~〇八年製の車を所有しており、中には、新車価格一八万レアルのパジェロ始め、フォードのヒュージョンやヴェクトラ、トヨタのハイラックスなどの高級新車所有者も三九人いる。
ProUniの奨学生(約三八万五〇〇〇人)には、家族一人当りの収入が三最賃以下で学費半額付与の学生もいるが、奨学生中、車やバイク所有者は五万七八五〇人。四一%はバイクで、大半の奨学生は一〇年以上の中古車所有だが、全額付与の奨学生で一〇〇〇人以上、全体で一七〇〇人が新車所有者だという。
奨学生認定は申請者が高校教育の習熟度テスト(Enem)受験時に記入した収入額で行われるが、車やバイクの情報は会計検査院(TCU)が車両登録データと照合して明らかになった。
また、企業などの給与支払いに関する申告内容(RAIS)との照合では、RAIS対象の奨学生一二万六〇〇〇人中、約二四%が収入額を偽って申請していたという。
さらに、奨学生は高等教育が始めての者で、他の高等教育機関との重複就学は認めないとの規定に対し、三五六一人が大卒か重複学習中だった。
教育省では、個人収入額と家族一人当りの収入という基準の違いや、申請後の増収かなどを調べて資格剥奪か否かを決めるが、検察庁も乗り出す可能性もあるという。
ProUniでの不正については二十四日付エスタード紙も報じたが、二十三日付フォーリャ紙によれば、ProUni参加の高等教育機関の五分の一は教育レベルが低いと評価された一方、高等教育での習熟度テスト(Enade)では、奨学生は一四分野中一二分野で平均より高い点数を取っているともいう。
ルーラ政権自慢のProUni導入などで、〇二年には一六%だった大学進学率は〇七年には二四%に向上したが、一一年には二四歳以下の青年の大学進学率を三〇%にとの目標にはまだ遠い。