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豚インフルエンザに警戒警報=米墨旅行は慎重に=当局は情報不足で体制不備=猛毒性疫病の可能性も

ニッケイ新聞 2009年4月28日付け

 メキシコのジョゼ・コルドーバ保健大臣は「豚インフルエンザにより国内で約百五十人が犠牲になった可能性がある」と発表し、米国でも警戒宣言が発令されたことでブラジル保健省は二十六日、ブラジルに同病原菌ウイルスの感染形跡がないものの、メキシコで風邪を患って帰国した男性をエミリオ・リーバス病院で原因究明のため隔離と二十七日付けフォーリャ紙が報じた。伝染病の専門医は、これまで見たこともない突然変異性のウイルスについてブラジルに予防法も治療法もないので、危険性のある地域への旅行を見合わせるよう提言した。

 先週まで、ブラジルでは国際空港を初めまったく緊急対処がとられておらず、先進諸国とは違っていた。
 国家衛生監督庁(Anvisa)は二十六日、豚インフルエンザに関する情報収集を怠った手落ちを認めた。同庁は保健省から二十四日、同地域向け旅行者に三カ国語の注意書を配布するよう泥縄式に通達を受けた。
 鳥インフルエンザはWHO(世界保健機関)から警告が出て久しいが、豚インフルエンザには油断したようだ。一日で翻訳から印刷、マスクの手配、専門知識の説明まで間に合わなかった。米国やメキシコから帰国した旅行者は、ブラジルの怠慢ぶりに呆れた。
 隔離された病人は現在まで豚インフルエンザの症状、高熱や頭痛、せき、筋肉痛、関節痛、目や鼻の炎症は確認されていないと病院が発表。同患者は、デング熱罹患の可能性が高いと州衛生局は見ている。
 WHOの報告によれば、豚インフルエンザは種々のタイプに変異するAタイプのインフルエンザ・ウイルスで、豚の呼吸器官に炎症を起す。そして豚の鼻の粘液や分泌物、排泄物を通じて他の豚へ伝染。同ウイルスが感染した豚は、二十四時間で症状が表れる。
 第一次大戦終焉理由の一つにスペイン風邪の流行が上げられているが、豚インフルエンザもパンデモニウム(世界的に大量死を引き起こす可能性がある伝染病)となる可能性をWHOが警告。
 これまでの研究では、ウイルスの外皮は二種類の蛋白質でできている。これが悪性ウイルスに突然変異する。この異種交配したウイルスは人間や鳥、豚への感染性を有し、従来の風邪とは異なる強い毒性と短時間に伝染するという特徴を持つ。人間にも、咳やくしゃみなどを仲介とする空気感染の危険性があるとされるが、加熱した豚肉料理で伝染することはないとされる。
 特効薬はタミフルとレレンザとされ、罹患の疑いがあるときは早期治療を勧めると関係当局が警告。これまでに市販された風邪薬では、豚インフルエンザに効果がないという。