ニッケイ新聞 2009年4月28日付け
サンパウロ州サントス市で二十六日に行われたサッカーのサンパウロ州選手権決勝第一戦は、コリンチアンスが3対1で勝ち、サンパウロ州選手権杯に王手をかけたと二十七日付伯字紙が報じた。
試合の流れを引き寄せたのはコリンチアンス。前半一一分、ゴール前でのファール後、仲間のカモフラージュを利用したシッカンのシュートで、早くも均衡が破れた。
ついで、二六分には、サントスのクレーベルがゴールまで運ぼうとする球を奪ったシッカンが、前方のロナウドにロングパス。ロナウドが、相手のマークをかわしつつ左足で放った球は、キーパーのファビオ・コスタの脇を抜け、ゴール右側のネットを揺らした。
一方、ホームでの第一戦は何としても勝ちたいサントス。〃王〃ペレーが「自分が観戦しに来たホームでの試合は三年間負けなし」と誇っていたホームグラウンドで、果敢に攻めるサントスの前に立ちはだかったのは、コリンチアンスで丸二年を迎えたゴールキーパーのフェリッペだ。
シーズン当初はチームメイトからの不安の声もあったフェリッペは、試合毎に成長を遂げ、この日の試合では少なくとも四回の危機を救った。
後半一六分には、ゴール右手の深い角度から放たれたトゥリギーニョのシュートを防ぎきれず一点を返されたが、前半三八分、クレーベルの球を倒れこみながら防いだ後、こぼれ球を押し込もうとしたネイマールの球もはじいたファインプレーが目をひいた。
一方、コリンチアンスの駄目押し点は再びロナウド。後半三二分に球を受け、素早いドリブルで相手をかわしてのシュートは、前進してきたキーパー頭上を弧を描いて越える見事なもので、ペレーさえも賞賛した。
往年のペレーの本拠地で初得点を挙げ、「一日だけでも〃王〃の本拠地で〃王〃になるなんて最高」と喜んだロナウド。ペレー同様、同スタジオで無数のゴールを決められたらと夢を語ったその日、サントスは〃怪物〃の本領発揮で大きく水を開けられた。
敵地の試合に弱く、三ポイント差を挽回しての勝利経験もないチームにとり、五月三日の敵地での逆転優勝は至難の業といえそうだ。