ニッケイ新聞 2009年4月29日付け
「お受け取りになるそうです」。二十四日午後、在聖総領事館の丸橋次郎首席領事から嬉しい電話が入った。ニッケイ新聞が二十三日に発刊記念会を催したばかりの百周年記念写真集『百年目の肖像』を、皇室に献上するお伺いを、同総領事館を通して宮内庁にたてていた▼あらかじめ先方からは「献上したいと言っても、何でもかんでも受け取られるわけではありません」と釘を刺されていただけに、連絡があった時は、正直言って胸をなでおろした▼写真集の中でも、皇太子さまがリオのポン・デ・アスーカル山頂で満面の笑みを浮かべられている頁は特別だ。ぜひともご覧にいれたいと考えていた▼日伯議員連盟の麻生太郎会長(首相)、河村建夫幹事長(官房長官)に謹呈する手はずも整ったとの連絡も入った。何はさておき、まっさきに見て欲しい日本の関係者ではないだろうか。例え写真に写っていなくても、コロニアの重要な節目を母国へ報告できる喜びを分かち合いたい▼発刊記念会には予想を超える二百人以上が集まり、口々に「いい本を作ってくれた」と感謝され、こちらの方が心底恐縮した。それから一週間もたっていない二十八日現在で、千九百冊もが販売済み、もしくは委託販売先に渡された。千冊が売れればベストセラーといえるコロニア出版物の中では、幸先のいい出だしだ▼通常、自分の住んでいる町や所属する団体を中心とした知識しかないが、この一冊を手にすることで、全伯でどれほど大規模に祝われたかを実感でき、日系社会の真の実力を目の当たりにできる。子々孫々に百周年を語り伝えるための材料として使って欲しい。(深)