ニッケイ新聞 2009年4月30日付け
昨年ニッケイ新聞で連載された作品を含む荒木桃里さん(本名=荒木信秋、83、熊本)の小説選集が、『望郷の果て』というタイトルで今月刊行された。
同著は一九七七年にパウリスタ文学賞を受賞した小説「うしおの河」、〇五年に武本賞を受けた小説「猿橋の河」に加え、昨年三月二十日から八月二十三日まで本紙に連載して好評を得た「望郷の果て」などの代表作と、主だった随筆をまとめたもの。全三百七十二頁の読み応えのある一冊になっている。
荒木さんは五六年に渡伯しパラー州グアマ植民地に入植。その後もサンパウロ州スザノ市やサンタカタリーナ州ラモス移住地など各地で生活してきた。その時々の経験を、七〇年代から農場経営の傍ら、雨天の暇をみては執筆するようになったという。
現在は日系文学の選考委員も務める。作品集を出版するのは初めてで、今回の出版をもって「自分の記念、集大成にしたかった」と語った。
トッパン・プレス印刷出版発行。一冊五十レアル。リベルダーデの太陽堂書店で販売している。