ニッケイ新聞 2009年5月5日付け
中央銀行調査部のフォーカス報告書は二日、金融機関やコンサルタント百社が今年度の経済成長をマイナス〇・四九%からマイナス〇・三九%へ上方修正をしたことで、僅かな成長であるが看過できないものとして取り上げたことを四日付けエスタード紙が報じた。証券市場は二〇〇九年のGDP(国内総生産)に、見るものがあるとして既に動き出している。これは政府の意欲的な通貨政策と公共事業の拡大が、投資家を刺激したものと思われている。
景気回復の兆候と見られる要因は、いくつかある。FGV(ジェットリオ・ヴァルガス経済財団)は四月二十九日、四月末の製品在庫が不況に関わらず毎年の平均より低いこと。大量の在庫は労働市場の悪化を意味し、消費にブレーキをかけるからだ。
他の要因は、二月の小売が昨年同期比で三・八%増の売れ行きを見せたこと。これは小売の落ち込みが、市場の懸念より少なかったことを意味する。一、二月の売れ行きは、景気回復の予兆を見せた。三月に最低賃金の調整が行なわれる前の売れ行きなのだ。
これらの要因をもとに格付け社オースチン・レイティングは、〇九年のGDPを〇・九%とした。またHSBCは、少し堅く〇・一%。HSBCは消費がGDPの六〇%を支えるから、政府の自動車と生活家電への販促で、修正の可能性を認めている。
中銀の〇九年GDP予測は一・二%で、市場予測のマイナス〇・三九%よりは上。中銀予測は、原則として修正しない。財務省の経済成長率予測は、二%としている。
悲観的なのはイタウー銀行、消費の回復を認めずマイナス一・六%を保っている。同行のエコノミスト、アウレリオ・ビカーリョ氏は「悪化が止まっただけで、期待の投資拡大と輸出振興はまだ先」と突き放しており、IBGE(ブラジル地理統計院)は沈黙を守ったままだ。
フランスの保険最大手Cofaceのジェロメ・カゼー頭取は三日、国際経済を揺さぶるような悪い材料が出払ったと発表。現在は、新しい時代の胎動期だという。金融業界は昨年、血の雨が降った。しかし、ブラジルはレートを下げずによく耐えた国と評価。
今年下半期には世界の大企業百万社が、大型投資や契約、クレジット計画を発表する。そして、国際経済が動き出すと見ている。特にブラジルは、投資有望国として見られているという。