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イラン大統領が来伯=伯独自の対外政策で対応

ニッケイ新聞 2009年5月5日付け

 イランのアハマジネジャド大統領の六日来伯で、国際社会からの強い圧力が予想されることからルーラ大統領は四月三十日、欧米と一線を隔し、ブラジルが独自の対外政策を貫く方針を明らかにしたと五月一日付けフォーリャ紙が報じた。
 同大統領の来伯には国際的孤立化を避けるため、支援取り付けと通商拡大が目的と見られている。大統領府と外務省は、米ベネズエラ関係のような思想を抜きにした、亀裂もヒモ付き同盟もない現実的な政治と通商関係を願っている。
 ブラジルとしては一定の距離を保ちながら中東地域への二カ国間交渉のチャンネルを広めたいと思っている。
 イランは世界初のイスラム共和国で、その政治システムは欧米社会と相容れないものがある。核拡散防止条約に加盟しながら、イスラエルとは敵対色を鮮明にしている。国連人権会議で同大統領はイスラエル非難演説を行い、欧州代表を退場させるに至った。
 ブラジルは同会議で退場はしなかったが、駐伯イラン大使に同非難演説の説明を求めた。ブラジルはイランへ〇七年、一八億三千七百万ドルを輸出。それが〇八年、十一億ドルに激減した。
 貿易縮少の原因は、ブッシュ米前大統領による「悪の枢軸」指定で国連安保理のイラン輸出に対する国際保障廃止にある。そのためブラジルの対イラン輸出は大幅な出超で、イランの対伯輸出は停止している。
 同大統領はベネズエラのチャベス大統領を通じて、欧米銀によって拒否された国際保障の突破口を対ラテン・アメリカの中銀に求めている。
 イラン輸出の八〇%を占める石油産業に投資を募り、鉄鋼や石油化学を興す考えだ。またイランは、中東でサトウキビを栽培する唯一の国なのでエタノールの合弁事業も話題に上がっている。
 イランは、ルーラ大統領が訪問していない唯一の新興代表国でもある。しかし、イラン訪問の障害となっているのは、同国の国際関係。同大統領は、六月の大統領選に向けて挑発的な発言が多いのも懸念事項だ。