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「侍の日」に古武道交流=二天研究所=国士舘剣道部から15人来伯

ニッケイ新聞 2009年5月5日付け

 二天古武道研究所(岸川ジョージ主宰)は日本から国士舘大学鶴川剣道部の馬場欽司監督(64、剣道七段教士、同大教授)と部員ら十五人を迎え、「侍の日」にあたる四月二十四日、ブラジル北海道協会で古武道や剣道のデモンストレーションを行い交流を深めた。
 「侍の日」はブラジルで古武道の普及に努める岸川主宰(46、二世)の誕生日で、〇五年にサンパウロ市議会が制定。パラナ州、アマゾナス州でも定められている。
 剣豪・宮本武蔵によって完成された「兵法二天一流」の第十代師範である岸川氏は剣道歴四十年以上。古武道に取り組んでからは二十八年になる。二天研究所は九三年から活動を開始し、現在の生徒は全伯に約六百人。岸川主宰は「今の時代にも使えるような、現代にあった武士道を伝えたい。一人一人の能力開発にでもなれば」と語る。
 国士舘剣道部の馬場監督は三歳から剣道を始め、日本では数々の大会で輝かしい成績をおさめるも、その後スポーツ剣道から方向転換、古武道の実践、継承者として世界を渡り歩いている。
 馬場氏と岸川氏との交流は十五年程前から続く。当時、どうやってブラジルで武道を伝えたら良いのか悩み、剣道の防具などもなく困っていた岸川氏が相談したところ、「まず、紋付袴を揃え、心を教えなさい」と馬場氏が答え、日本の高校を巡って使われていない防具を集め贈ったことから交流を深めていった。
 今回は岸川氏が馬場氏をブラジルに招いた。馬場氏は〇三年以来二回目の来伯。「二天は、日本より日本の文化を伝承しているところが良い」と話す。
 北海道協会での演舞は二時間半に渡って行われ、二天一流の剣術や剣道型、杖術などが国士舘の学生、研究所生徒らにより披露された。演舞の最後には国士舘大学の学生と馬場氏による試し切りも行われ会場を大いに盛り上げた。
 参加した国士舘大学の学生、野原聡さん(20、神奈川)は「日本の剣道と違い、型にとらわれていない。新鮮で学ぶことが多かった」と初めてのブラジルでの経験を振り返る。
 原愛実さん(19、新潟)は「二天はスポーツ剣道ではなく、剣術から発展した古武道で日本では認められていない構えなどがあり、侍本来の戦い方がある」と日本との違いを話していた。
 国士舘大の一行はサンパウロの後、ブラジリア、リオ、ブエノスアイレスなども訪問する予定。