ニッケイ新聞 2009年5月6日付け
サンパウロ州保安局が〇九年第1四半期に、前年同期比で一四種の犯罪中一〇種が増加と報告したことを一日付伯字紙が報じた。
増加が著しいのは、強盗殺人(三六・二%)、強姦(三三・二%)、自動車強奪(三三%)などで、29四半期連続で減少していた殺人も〇・七%の増加を記録した。
犯罪の増加には様々な要因が考えられるが、保安局の解析企画担当責任者のトゥーリオ・カーン氏は、銃器所持の増加や金融危機にも言及。同氏によれば、失業率が一%上がると、強盗は五〇〇〇件増えるという。
この言葉を裏付けるように、第1四半期の強盗事件は一九・一三%増の六万五六三五件で、〇三年の六万四二八二件を超える最悪記録となった。
また、四日付エスタード紙は、サンパウロ市25・デ・マルソ街ではこの三カ月、強盗や窃盗が増え、一日一五件の窃盗事件と報じたが、州全体での窃盗の増加率は一・六%。
25街での窃盗や強盗増加は、地区内巡回の警官減少で、正規の営業許可を持たない露天商(カメロー)が戻ってきたことも原因らしい。25街で営業許可を持つ露天商は七四人だが、現実には25街だけで四〇〇人、周辺地区では一〇〇〇人の露天商がいるという。
露天商増加に伴う犯罪増加は、仕入れた品を届ける業者も同地区に近づきたがらないなど、商店主達の頭痛の種となっていたが、近日中に市役所の主導で犯罪防止と違法商業行為取締りを行うとエスタード紙が報じた当日、25街の露天商一掃作戦が行われた。
五日付伯字紙によればこの作戦は同街の排水施設改修工事のためというが、営業許可を持つ露天商は工事中の一〇〇日間は動きの少ない別の地区に移されるため、無許可の露店商が近辺の道に残って営業していることへの不満も出ている。
また、殺人は、リベイロン・プレット地方の三六・七%を始め、内陸部で一一・〇六%増加。特に小さな町での殺人が増えているというが、サンパウロ市や大サンパウロ市圏の殺人が六%余り減り、殺人多発地方でも都市では減少傾向であるため、全体では〇・七%の増加に留まった。
強姦が〇八年の第1四半期以降連続増加、強盗殺人も〇八年第2四半期以降増加傾向にあるのも目に付くが、銀行強盗は一三・六%減少した。