ニッケイ新聞 2009年5月6日付け
上院は四月二十九日、法人や個人による国税庁への滞納税などの債務に、分割払いの便宜を拡大する特典を承認したと同三十日付けフォーリャ紙が報じた。
承認された条文によれば、〇二年満期の債務で一万レアル以下は免除。〇八年十一月三十日満期の滞納債務は、次のような特典を付与。一、一括払いには罰金を免除し、滞納利子は四五%割り引く。二、三十カ月の分割払いには罰金を九〇%、利子を四〇%割り引く。三、六十カ月の分割払いには罰金を八〇%、利子を三五%割り引く。四、百二十カ月の分割払いには罰金七〇%、利子三〇%を割り引く。五、百八十カ月の分割払いには罰金六〇%、利子二五%を割り引く。
分割払いの最低金額は、個人が五十レアル。法人が百レアル。債務期限の延長に対する価値修正は、TJLP(社会開発銀行が課する長期融資の利率で市場金利より低率とする)に準じる。現在の修正率は年六・二五%だが、政策金利の六〇%分に連動する。
債務期限を延期した分割払い額は、帳簿上のものとしたPMDB(民主運動党)案を、国税庁のリナ・ヴィエイラ長官が国庫に三百億レアルの損失をもたらすとして異議を申し立てた。
上院が承認した条文は、税金の滞納を奨励するような内容であると同長官が抗議。正直者がバカをみるような悪法だと位置付けた。支払い期限の延期が認められるならば、債務者の多くは特典を利用してしか支払わなくなる。これでは、税収増につながる税制を考案する必要が生じる。
同暫定令を法令化するためには、下院での承認後、大統領の裁可が必要になる。その場合債務の価値修正がないと大統領の裁可は出ない。滞納税の期限延長はTJLP修正を基本としているので、法令化しても形式だけの税制になる恐れがあると同長官はいう。